主要通販各社の 2016年新卒採用 過熱する人材争奪戦の裏側

今年もまた新入社員を迎える季節がやってきた。数々のハードルを乗り越えて通販業界に仲間入りした彼らに対し、各社とも大きな期待を寄せていることだろう。近年の採用市場は景気回復に伴い、優秀な人材の獲得合戦が年々激しさを増している。加えて、2016年の新卒向け採用活動に関しては、政府や経団連の指針によりスタートが従来から3カ月程度後ろ倒しのスケジュールで行われるなど採用現場にとって厳しい状況の中で行われていた。今回は姉妹紙「通販新聞」で実施した「主要通販各社の新卒採用状況」の調査をもとに、有効回答を得られた約20社の結果をまとめた。新卒採用の選考内容や入社後に社員のやる気を起こすために実践している独自の取り組みなど、各社の“人財”の育て方にスポットを当てていく。

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採用数は「前年割れ」が多数

まずは、今春の採用人数について。前年との比較で見ると、増加したところは少なく、前年割れや横ばいの企業が多数を占めた(表参照)。増減幅を見てみると、12人減と最も減少幅の大きかったスタートトゥデイは「目標数が少なかったため」と説明。10人減となったファンケルは、中期経営計画や第二研究所設立のための増員など即戦力を求める中途採用を強化したことを理由に挙げている。そのほかQVC ジャパンが9人減だった。

一方、増加幅の大きかったのがベルーナで60人増。ユーグレナは事業拡大を理由に8人増。ジュピターショップチャンネルは新卒社員の戦力化の評価とニーズの高まりを受けて4人増、ケンコーコムでも4人増となった。

エントリー数については数百から数千規模との回答が中心。多かったところではファンケルが約1万5000(前年比150%)、ベルーナが約1万2000、ジュピターショップチャンネルが約9000(同120%)、オルビスが約7000となっている。
また、採用告知のために利用したものでは、合同説明会・学内セミナーなどのイベントを活用したケースが最も多く、次いで自社サイトとなった。大手就活サイトやSNSの利用も前年同様に見られたが、人材紹介サービスを活用する企業も近年では目立つようになった。なお、採用コストの総額については回答企業中、最も高額だったのが1900 万円。500 万円前後に設定している企業が多かった。

“後ろ倒し”で選考が長期化

今春は政府や経団連からの要請により就職・採用活動の開始時期を後ろ倒しにした企業が多く、選考スケジュールが例年とは大きく異なっている。ディノス・セシールでは、会社説明会・選考を前年の2~3カ月遅れで実施したことで選考が9月までかかるなど長期化を余儀なくされた。会社説明会や選考の時期が特定できず、母数形成には時間と労力を要したという。結果的には早期に動く学生が多かった印象で17年度についてはさらに学生の動きが早まることを予想し、早期の直接接触を図る方針。3月から採用広報を始めたファンケルでは、母集団形成~面接までは例年以上に多く集まり学生の質も高く感じたとする一方で、辞退者が例年よりも多く出るなどのデメリットがあったという。これを受けて17年度の採用セミナーなどでは採用担当のみならず、先輩社員も参加して社内での活躍・仕事のイメージを発信することで、応募意欲・入社意欲を醸成。内定後のフォローも強化していく考え。ケンコーコムでも選考スケジュールを8月からにしていたが、終盤まで学生の動きが読み切れなかったという。「学生も手探りだったかもしれないが企業も手探りだった。後倒しが良かったかどうかは分からない」とした。アスクルでは採用広報活動を3月から開始。「学生との接触期間が短くなった。辞退率増加が予想されるため、内定者フォローに力を入れることが17年度のポイント」とした。千趣会では学生の活動開始時期の分散化を見込み、従来よりも選考期間を長期化。そのために、学生・企業双方に疲弊があり、内定辞退の増加というデメリットもあったとしている。
また、今回は例年通り12月からのスケジュールで行ったスタートトゥデイは、他社の多くが3月から行っていたため就職活動への意欲が上がり切っていない学生が多く来るといった影響があった。そのため、17年度は後ろ倒しに合わせるという。同じくスケジュールなどで変更の無かったHameeでは大手の採用開始を学生が待つため、内定を出すタイミングが難しかったとしている。ランクアップも「大手が採用を始める前に先手を打つことができる」と回答した一方で、内定後に大手の採用が始まるため辞退につながらないよう内定者フォローを強化していく方針。

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