日々の意見やクレーム、どう対処・活用する? 各社に聞く 顧客対応のポイント

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タイムセールサイト「ルクサ」では、飲食店やエステの割引クーポンなどを提供。ユーザー である消費者はもちろん、店舗側の声も聞きとるようにしている

【事例① ルクサ】

客と店舗の間に入り問題に関与していく

ネット販売を実施する企業のもとには日夜、顧客からいろいろな声が寄せられる。単純な質問にとどまらず苦情も含めその内容は多種多様だ。EC事業者の中には、顧客から寄せられるそうした問い合わせやクレームに向き合いながら、顧客満足度の向上や業務の改善、ひいてはビジネスチャンスにまでつなげているケースがある。そんな顧客対応に取り組むEC各社の最新事例を見ていく。

ルクサが運営するタイムセールサイト「LUXA(ルクサ)」では、飲食店やエステサロンなどの割引クーポンに加え、化粧品、家電といった物販も扱っている。サービスの特質上、同社に寄せられるクレームや問い合わせの代表的なものは店舗の対応に満足できないというケースが多いようだ。

例えば飲食店のケースで、サイトで掲載していたのとは異なる料理が出たという苦情や、美容サロンでサービスを提供する時間が当初の予定よりも短かったというものだ。しかし、「店舗様からすると『そんなつもりじゃかなったのに』というケースも意外に多いんです」と述べるのは、ルクサでカスタマーサポート部長を務める芹澤有幸氏だ。
芹澤氏によると、先ほどの美容サロンでの時間が短いというケースの場合、店舗側としては来店客の体の状態を見て、やりすぎるとかえって良くないために短くしているのだが、それがうまく伝わっていないのだという。ほかにも、わざわざ他の客とは別の場所に連れて行かれて説明を受けて怖かったというような声もあった。これも店舗側からすると、他の客がいる前で割引チケットの説明して恥をかかせてはいけないという配慮で、むしろ礼をつくして部屋を変えていたのだという。
このように店側は善意でやっていることが誤解されるケースの場合、放っておくと客は二度と店に足を運んでくれないだけでなく、仮にネット上で悪く書かれたすると、店舗には大きなダメージとなる。そこでルクサが間に入り誤解を解くようにしている。

一次回答の時間を半分に短縮

ルクサの問い合わせ対応は基本的にメールベースでサポートセンターを構築しているが、物販で商品が届いた際に壊れていた場合などを想定して電話窓口も設けている。3月時点で席数は16席で、SV(スーパーバイザー)を含めると約20人の体制。16席のうち、メール12席、電話4席という構成だ。
ルクサでは2014年9月からサポートセンターを外部に委託している。それ以前は社内のチーム4人が対応していたが、土日にシフトを組むのが難しく、回答速度が遅れるという課題があったようだ。
「平日に社員が返答している状況で、お恥ずかしい話ですが当時は夜の10時や11時にメールを返していることもありました」と芹澤氏。場合によっては金曜日の夕方に来た問い合わせを翌週の火曜日や水曜日に回答することもあったようだ。「これは良くないと思い、適正な時間帯に適切な人員で返答するために土日も稼働しようと、外注することになりました」(芹澤氏)。

その結果、一次回答までの時間が36時間から16時間になり、約2年間で半分になった。現在は問い合わせが少ないため9時間で回答しており、早い場合は1時間で対応できている。

コミュニケーションを円滑に

ルクサの一次回答までの時間は16時間だが、このスピードについて以前、顧客にアンケートを実施した。

その結果、多くの顧客が現状に満足していたが、一方でスピードだけで満足度を高めようとした場合、一次回答までのリードタイムが4時間を切る必要があると推測されたという。それを実行に移すには24時間体制となるため、実現は難しい。そこで同社は視点を変え、問い合わせを受けてから最終的に解決するまでの時間を短縮することにフォーカスした。
顧客が何らかの問い合わせをしたい場合に、店舗がルクサの窓口を紹介し、それを受けて顧客からルクサに問い合わせが入るというケースがあるが、その仕組みを効率化するよう取り組んでいる。例えば店舗からルクサの営業担当を経由してカスタマーサポートに連絡が入って手続きを進めるという具合に、ワンストップで解決できるようなやり方を模索している。

あるいは、店舗側で困ったことあった場合の対応についても「当社はお客様の個人情報を持っていますので、こちらからお客様に連絡をすることでスムーズに店舗様のサービスを受けていただくことが可能になります。これはお客様の満足度を上げる一つの要素になるのではないかと考えています」と芹澤氏。
客と店舗の間に立ち、コミュニケーションを円滑に進めることで、結果的に問題があった際に解決までの時間も短くなるというわけだ。

店舗の「面倒」を聞き取る

こうした同社のスタンスについて、芹澤氏は「基本的にはエンドユーザー様に対してサポートをしていますが、これからは店舗様の力になれるかどうかが勝負だと思っています。つまり店舗様のちょっとした『面倒』を聞き取ることによって、お客様の満足度も上がり、店舗様も満足してもらえるのであれば、それはきっといいことだと思います」と説明する。
実際、すでに成果も出ている。何らかのトラブルがあった際に問題発生から解決までに1週間から10日程度かかることもあったが、ルクサが店舗側と密に連携をとることにより、3日で解決することもあるようだ。

「当社のチケット(クーポン)をきっかけにその店舗のファンになってもらうのは、“新しい出会い”という意味で我々の売りの1つです。それと同時に『ルクサのチケットであれば間違いない、何かあった時も対応してくれる』というように当社のファンになってもらうチャンスでもありますので、当社が問い合わせやクレームに対してある程度関与していく意味はあると思います」と芹澤氏。
個人でやっているプライベートなエステサロンなども多く、そうした店では客とのトラブル時に怖くなることもある。その際もルクサが間に入るようにしており、「何かトラブルあった際には連絡をください」と伝えているという。

ルクサカスタマーサポート部長の芹沢有幸氏が語る

顧客対応のツボについて

一般的に言われていることかもしれませんが、「サービスクレーム」なのか「対応クレーム」なのかをまず考える必要があります。「買いにくい」や「予約がとれない」など当社のサービスが問題なのか、あるいはサポートセンターの対応そのものが問題なのか、そこを冷静に見極めないと謝り方を間違えます。それを見極めるツボは“聞くこと”ですが、これに関しては練習量が大事で、数をこなしてカンを磨いていくしかないです。

当社はサポートセンターを外注していますので、“生の声”を聞きとっている現場との関係性が大事になります。いい声だけを教えられるのではなく、委託先から「どうしてこんな売り方しているのですか」と意見されるような関係でないと、リアルな声は拾えません。このセンターと私との関係は、私と村田(ルクサの村田聡社長)との関係を反映させています。村田がいいことも悪いことも含め“本当の声”を聞きたがっているのです。その意味でCS対応というのはトップのモチベーション次第と言えるのかもしれません。

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