「楽天市場」を100%活用する 6つの方法  case #5 Rakuten Shopping Live TV編

5回目のテーマは「ライブコマース」。最近はさまざまな事業者が展開しており、ブームとなっていますが、楽天でも生放送番組として「RakutenShopping Live TV」を放映しています。楽天の考えるライブコマースとは何か。番組で商品が紹介されると、店舗にとってどんなメリットがあるのか。コンテンツストラテジーグループの大津健太郎マネージャーと、高瀬基氏に聞きました。

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「生放送において店舗様やアイテムの紹介を行うことでその魅力を最大限に引き出すのがコンセプトです」

著名人フックに集客若年層の視聴が多い

――「Rakuten Shopping Live TV」とはどういったサービスでしょうか。

楽天 高瀬 基 氏

高瀬基氏(以下、高瀬):楽天市場における生放送サービスです。2018 年3月現在、月~木曜日の午後8時から放送をしています。楽天市場内の専用ページのほか、YoTubeでも同時に放送しています。

--以前、「Rakuten SUPER LIVE TV」というサービスがありましたが、これを発展させたものですか。

高瀬:そうです。2017年7月にサービス名を変更しています。サービス自体は16年5月にスタートしました。楽天市場の出店店舗を取り上げて店舗ストーリーや商品を紹介するというコンセプトで始まったものですが、現在はさまざまな芸能人をゲストとしてお招きし、店舗様や商品について知ってもらうというスタイルになっています。いろいろな角度から楽天市場の魅力を発信しています。

――これまでどのくらいの店舗を取り上げたのですか。

高瀬:18年1月の時点で200を超えました。紹介したアイテム数は1500 超、出演ゲストは200 を突破しました。

――番組のコンセプトを教えてください。

高瀬:3つの特徴があります。一つは楽天市場には約4万5000店舗あるわけですが、ユーザーがさまざまな店舗様が出会うための機会を設ける狙いです。次に、多岐にわたるアイテムを紹介するというものです。アパレルやグルメ、生活雑貨、家電製品などいろいろなアイテムを扱っているのが楽天市場の強みです。さらには、本サービスを通じてユーザーは、店舗様とコミュニケーションを取ることもできます。最近はライブコマースという言葉が有名になりましたが、出演者と閲覧者が直接やり取りをするサービスが多いですよね。当サービスでも、YouTubeにおいてはコメント機能を使って出演する店舗様とユーザーがコミュニケーションしたり、アイテムの詳細をリアルタイムで知ることができます。

楽天 マネージャー 大津 健太郎 氏

大津健太郎マネージャー(以下、大津):楽天市場は楽天グループのサービスの一つではありますが、約4万5000の店舗様によって構成されているというのが大きな魅力です。ライブ放送において、店舗様の紹介やアイテムの紹介を行うことで、その魅力を高めようというのが基本となるコンセプトです。

――どんな人が放送を見ているのですか。

高瀬:楽天市場内とYouTube の双方で流しているわけですが、YouTubeの閲覧者分析に関していえば、24 歳以下の若年層の比率が、楽天市場の利用者層と比較した場合、相対的に高くなっています。また、楽天市場といえば30~40代女性に強いという印象があると思いますが、この番組の場合、企画によっては男性視聴者の比率が95%ということもあります。

――番組内容について。


高瀬
:3つの企画軸がありまして、一つは楽天市場に関連したもの。次に当社グループのサービスと連携したもので、当社が後援している「楽天ガールズアワード」や、Jリーグの「ヴィッセル神戸」の番組、さらには、店舗様の人気グルメを百貨店で販売する「楽天うまいもの大会」に関した番組などです。最後に、著名人をフックにした企画です。

――具体的にはどんなものですか。

YouTube にチャンネルを設けた

高瀬:楽天市場に関連したものでいえば、「らくてんぽ」という企画があり、これは店舗様をスタジオにお招きして、ストーリーをじっくりうかがうトーク番組となっています。経済ニュース番組のカジュアル版といったらイメージしやすいかと思いますが、司会者とトークを展開してもらうほか、人気商品を紹介してもらいます。楽天市場には4万5000店舗もあるわけですが、中には「隠れ名店」と呼ぶべき店舗様もあるわけです。また、地方では有名でも楽天市場ではまだそれほどでもないという店舗様もあります。こうした店舗様をお招きして、じっくりトークしていただきます。もう一つ、楽天市場と特集ページと連動した番組もあります。例えば「母の日特集」や「ハロウィーン特集」といったものです。ハロウィーン特集であれば「こんなコスプレがイケてる」とか「今年のハロウィーンメイクはこうだ」などさまざまなコンテンツを設けており、それに対応した番組内容です。昨年末には女性タレントが出演して「クリスマス女子会」をやりましたが、お酒やちょっとおしゃれなおつまみを紹介したり、かわいいサンタのコスプレを紹介したりしました。

――大型セールに対応した番組もあります。

高瀬:「楽天スーパーSALE」の内容に沿った内容で、例えば当社社員でポイントに詳しい者が出演し、ポイント獲得術を教えるという番組もやりました。また、年末には楽天市場のヒット番付を紹介しました。

――グループでスポーツチームを抱えているということもあり、連動した番組も放送しています。

高瀬:ヴィッセル神戸の特集であったり、「今年のイーグルスはどうなる」というようなものを放送したり、さらには「楽天うまいもの大会」を昨年名古屋で開催した際には、タレントの布川敏和さんとSKE48の高柳明音さんが出演して、各店舗様の出店を回って食レポしてもらうという番組をやりました。

――有名人が出演する番組も目立ちますね。

店舗をスタジオに招く企画「らくてんぽ」

高瀬:最近のライブコマースは、ティーンに人気の女性タレントが出演して、化粧品や洋服を紹介するといったものが話題になっていますが、それに近いことをやっています。例えば「いやしの月曜」という企画を毎週月曜日に放送しており、男性に人気の女性アイドルを招いて、スイーツを食べるというものです。これは楽天市場でも人気のスイーツなのですが、そのスイーツ食べるためにアイドルにはさまざまな企画に挑戦してもらいます。要はそのアイドルのファンが閲覧するものです。あまり楽天っぽくないと思われるかもしれませんが、著名人をフックにした集客です。また。似た企画としては「塩分女子」というものがあり、女性アイドルを2人がお酒とおつまみを紹介して、ゆったりトークを楽しんでもらうという趣旨です。

視聴者数が急激に増加動画内から商品購入可に

――視聴者の数は伸びているのですか。


高瀬
:伸びています。月間の平均視聴者数でいうと、サービスを開始した16年5月と比較した場合、3~5倍ほどに増えています。また、視聴継続時間についても伸びています。

大津:17年の後半くらいから増え始めました。世間一般でライブコマースが盛り上がってきたということもあるのでしょうが、急激に伸びてきた感触はあります。

――楽天の会員IDと視聴データは紐付いているのですか。

大津:現在のところ紐付いていません。

――番組で紹介された商品の購入動線は。

女性タレントがスイーツを紹介する「いやしの月曜」高瀬:楽天で配信しているものに関しては、「本日紹介するアイテムはこちら」としてリンクを設け、ページ内から買えるようにしています。YouTubeについては動画の説明欄にリンクを張っているほか、最近始めた取り組みとしては、画面内から買えるようにしました。右端のマークをクリックすると、紹介されている商品が掲載された楽天市場内の該当ページに遷移するというもので、クリック数が多かったので今後も続けていく予定です。

――購入にはつながっていますか。


高瀬
:間違いなくつながっているので、もっと良いやり方を模索しながら続けていきたいと思っています。

――YouTubeと楽天市場内のページ、どちらの方が閲覧者は多いのですか。

高瀬:今はYouTubeの方に寄せています。将来的には楽天のページからもコメントできるようにはしたいのですが、今はYouTubeからしかできませんからね。以前は楽天のページからしか閲覧できなかったのですが、コメント機能がないので、生放送であることのメリットがあまりユーザーに伝わっていませんでした。生放送の面白さは、出演者とユーザーが直接やりとりできることにあると思っています。そこで、告知もYouTubeに寄せて行ったところ、再生数も伸びるようになってきました。とはいえ、YouTubeはあくまで他社のプラットフォームですから、楽天内でどう売りにつなげるか、どう番組を盛り上げるかは模索していきます。

――若年層を取り込む狙いもあるのでしょうか。

高瀬:それも狙いの一つではありますが、それよりも大きいのは「まずは視聴者を獲得しなければならない」ということです。
大津:いろいろなプラットフォームはありますが、やはりオンライン動画といえばYouTubeが一番知名度があるわけで、ユーザーがたくさんいるし、扱いやすいのも事実です。当然、これがゴールというわけではないので、最終的には楽天市場内でサービスを完結させたいとは思っています。

――最近は競合他社もライブコマースに注力しています。Rakuten Shopping Live TV の強みとは何でしょうか。

大津:店舗が独自に企画して放送をするというスタイルのライブコマースもありますが、楽天が番組を企画して、店舗様と一緒にコンテンツを作るというのが魅力だと思っています。店舗様がタレントに出演依頼するのは大変ですから、そこを楽天がサポートすることで、店舗様の魅力を一層良い形で伝えられるのではないかと思っています。

画面右から商品購入を可能にした

高瀬:もちろん、アイドルを呼ぶのがすべてというわけではありませんが、例えば「MeseMoa.」という男性アイドルグループが3月出演した動画は再生数が非常に多く、1万5000 回近く(3月12日現在)となっています。コメント数も1時間で8000 となり、過去最高を更新しました。「加賀彩(かがいろ)」という店舗様の「加賀もなか」などスイーツを中心に紹介したのですが、若い女性に人気の男性アイドルを呼ぶことで、これまで店舗様がリーチできなかったユーザーに商品を知ってもらう機会ができたわけです。また、布川敏和さんと元AKB48の三秋里歩さんが「神棚の里」という神棚専門店の神棚を紹介する企画もやりましたが、再生数自体はそれほどでもなかったものの、動画を通じて実際に売れたそうです。今まで楽天市場とは縁があまりなかったファンを抱えるタレントてもらうきっかけが作れました。

――店舗や商品を紹介する際に心がけていることはありますか。

高瀬:演出が過剰だと視聴者は引いてしまうので、できる限りリアルな感想を引き出そうようにしています。基本的には演出なし、台本もペラペラで、タレントの自然な声を伝えられるようにしています。どうすれば店舗様の魅力を最大限引き出せるかについては、何がベストなのか模索中です。まず、ストーリーをきちんと伝えること、人気アイテムを紹介する、店舗様の生の声を届けるなどさまざまな切り口ですね。

――再生数は動画によってバラつきがあります。「これだけの人が視聴すれば合格」というような基準はあるのでしょうか。

高瀬:企画によってまちまちではありますが、重要なのは番組がどれだけ盛り上がったかどうかです。コメントが1000近くならば「相当盛り上がったよね」という感じですね。基準がまちまちな再生数よりはコメントの数を重視しています。

「『この番組で紹介されれば間違いなく売れる』というサービスにしたいですね」

欠かせないサービスへ向け「勝ち筋」探すフェイズ

――店舗から反響はありますか。

高瀬:「塩分女子」という企画では、「想定以上にお酒が売れた」というフィードバックがありました。また、出演した店舗様からは「タレントと共演できて良かった」という声もあります。番組企画を通じて、ユーザーと店舗様との新たな接点を産んでいるというのが、Rakuten Shopping Lve TVの意義だと思っています。

――紹介する商品の選定基準は。

高瀬:視聴者に響く可能性が高いものを選んでいます。楽天市場の各カテゴリーのランキング上位商品から紹介したり、ハロウィーン特集やクリスマス特集の時は、各企画の特集ページに掲載された商品を紹介しています。また、全国のECコンサルタントからの推薦や、店舗様の自薦もあり、隠れた名店をご紹介させていただくこともあります。最近は自薦も増えており、少しずつ知名度が上がってきたようです。

――番組で紹介された場合、費用は発生しますか。

高瀬:広告としてメニュー化しているものもありますが、まだほとんどやっていないので、基本的には無料で紹介しています。

――新しい番組企画は考えていますか。

高瀬:これまではトーク形式でしたが、今後はクイズ形式など、エンターテイメント性を取り入れていきたいですね。

――出演するタレントの基準は。

高瀬:いろいろですね。店舗様が出演するケースであれば、扱っているアイテムに少しでも親和性があるタレントを呼んでいます。また「これまでの顧客と違う層にリーチしたい」という要望があれば、そこに合ったタレントにオファーします。ある程度ファンを抱えていて、ネットとも親和性が高いタレントが理想的ですね。

――インフルエンサー的な人が商品を紹介するといった企画はないのですか。

高瀬:今のところやっていません。というのも、そういった企画は広告っぽくなってしまうからで、逆に言うと仕込みなしでやっています。

――企画を今後も続けていく上で、サービスの価値や成果はどの部分で測りますか。

大津:店舗様にとって、これまでなかなかリーチできなかった層があるわけで、そういった人たちを番組を通じてユーザーにできれば、このサービスの価値は高まります。また、ストレートに言えば「番組に出れば商品が売れる」ことで楽天市場にとって欠かせないサービスとなるわけです。その可能性は感じていますし、トレンドとして上向いているとも思っていますが、その勝ち筋を探しているフェイズです。もちろん、勝ち目はあると思っていますが、乗り越えなければいけないハードルはまだまだあります。

――今後の目標はありますか。

高瀬:より楽天市場のサービスと連携した企画をやる予定で、特に楽天市場のユーザーに出演してもらいたいと思っています。例えば、ダイヤモンド会員を招いて「ポイント獲得術を聞く」など、ユーザーならではの視点を紹介したら面白いと思います。また、今はタレントをフックにしたものが多く見られていますが、店舗をフィーチャーした企画で、売りにも視聴にもつながるベストなフォーマットを見つけ出したいですね。今は全体的にゆるめの企画が多いのですが、ながら視聴には良くても、能動的に見る、という感じにはならないと思います。経済ニュース番組やドキュメント番組のようなスタイルだと、内容は知らなくても視聴してみよう、という人がかなりいるはずなので、そういった番組にも挑戦したいです。

――数字面での目標は。

大津:最低でも視聴者を今の10倍にしたいと思います。
高瀬:企画や楽天市場との連携次第でもっともっと伸びると思っているので、「この番組で紹介されれば間違いなく売れる」という状態にしたいですね。

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