有力EC実施企業に聞いた! 2021年のネット販売市場の行方は?

スポンサードリンク

通販・EC各社へアンケート調査

 コロナ禍の収束が見えない中で幕を開けた2021年。今年のEC市場はどうなっていくのだろうか。本誌姉妹紙の週刊通販新聞で有力EC実施事業者各社にアンケート調査を行ない、2021年の市場の行方、コロナの影響、現在の課題などについて聞き、EC市場のこれからを展望する。

2021年のEC市場はどうなる

「市場は拡大する」が8割超え

 通販新聞社は2020年12月、通販実施企業に「2021年の通販市場の予想、景況感」についてアンケート調査を行った。その結果、通販市場規模について「拡大する」と回答した企業の割合は83%となった。2020年に引き続き、コロナ禍で通販の利用拡大が寄与するとの見方が大半を占めた。一方で足元の消費動向についてはコロナによる景気低迷や先行きの不透明感などを理由に「横ばい」または「下がっている」とする回答があわせて9割弱を占めた。

 アンケートでは「2021年の通販市場について、どのように予想していますか」と質問し、それに対して「拡大する」「横ばい」「縮小する」の3つの選択肢の中から選んでもらった。その結果、有効回答数のうち、「拡大する」と回答した企業は83%を占めた。「横ばい」は15%で「縮小する」は2%だった(上のグラフ参照)。

コロナが引き続き追い風に

 「拡大する」と回答した企業の理由の大半は新型コロナウイルスに起因して通販の利用が引き続き、伸びるとみる。 「新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、ネット販売事業の拡大が見込まれるため」(ベルーナ)、「新型コロナウイルスの感染拡大(第三波)で巣ごもり消費の継続・拡大が見込まれるため」(ジュピターショップチャンネル)、「新型コロナウイルス感染拡大状況の先行きが見通せない中、今春のような巣ごもり需要は引き続き伸びていると考えるため」(全日空商事)、「コロナ禍で対面することでの感染を避ける人が第3波によりまた増えると思われる」(ちゅら花)、「新型コロナウイルス感染症対策としての通販の利用」(ニッピコラーゲン化粧品)、「新型コロナウイルスはまだまだ収まる気配がなく、当面通販の利用は高まると考えられるため」(ブレーンコスモス)など一旦、落ち着いていた新型コロナウイルスの感染者が再び増加に転じたことなどから、巣ごもり消費が持続するのではないかとの声のほか、「ECによる購買はコロナ禍においては不可逆と想定しており、市場規模も拡大していくと思われる。巣ごもり需要による消費需要も継続して見込める」(MOA)、「利便性の高さから拡大をしてきた通販だが、コロナ禍においては感染症に対して、安心・安全なお買い物がしやすい場としても、拡大基調が続くと捉えている」(ファンケル)、「コロナの影響がまだ続くと想定される中において、政府の新しい生活様式でも推奨されているように、非対面・非接触の通販市場は拡大すると予想。また、緊急事態宣言下ほどではないにしても、一定程度巣ごもり消費は継続すると思われるため」(フェリシモ)、「EC通販が拡大している中、コロナ禍の影響もまだ続くとみられ、人との接触が少なくてすむ通販は市場として拡大していく」(ヒラキ)、「従前より『EC』による通販の利便性が高まっていることに加え、コロナ禍により、通販を含めた非接触型の購買スキームの定着が進む」(JALUX)、「コロナ禍の長期化により、非対面販売に対する需要増も継続すると想定しているため」(田中貴金属ジュエリー)、「新型コロナウイルスの影響により、実店舗を避けて通販でお買い物される方が増えると予想されるため」(ユナイテッドアローズ)、「購買様式の変化」(ファーマフーズ)などコロナ禍を機に新たな生活様式として通販・ECが定着したことで継続して市場の拡大が進んでいくとの声も多かった。

 また、「市場のEC化は着実に進んでおり、メーカーや店舗中心であった販売店もEC強化の方針を打ち出している様子。O2O対応やオムニチャネル化が進んでいる状況であるため、利便性が上がると予測され、ユーザーのEC通販へのシフトはまだ続くと予測する」(ゴルフダイジェスト・オンライン)、「デジタルの発展や消費者のイエナカ志向」(アダストリア)、「WEB、コロナ後のすそのの広がり」(タンスのゲン)、「新規参入者が依然、多いから」(世田谷自然食品)との声もあった。

コロナ特需の先行きに不安も

 2021年の通販市場予想については拡大するとの回答が大半を占めたが、市場の拡大を予想する声の中にも「コロナ禍の収束次第ではあるものの、21年の1/3はコロナの影響は受けるであろうと思われる。ただし、収束後のギャップは必ず起こるため、反動で落ち込む可能性もあると考えている。あくまでも通販はインドアな内向きの市場であることが大勢を占めており、消費者の意識が外に外に向いた時に通販は一時的に大きく萎む可能性があるとみている」(エー・ビー・シーメディアコム)という見方も。また、「横ばい」と回答した企業からは「2020年度上期ほどの巣ごもり需要は見込めないものの、コロナの影響による家庭内消費はある程度継続すると予想」(テレビ東京ダイレクト)など、「縮小する」と回答した企業からは「2020年のコロナ特需がどこまで続くか分からないため」(ロッピングライフ)などの声が挙がった。

 次に「現状の消費の動向をどう捉えていますか」と尋ね、「上向いている」「下がっている」「横ばい」の3択で回答してもらった。その結果、「横ばい」が48%と最も多く、次いで「下がっている」が38%、「上向いている」が13%、「分からない・不明」が1%となった(右のグラフ参照)。

 最も多かった「横ばい」の選択理由ではコロナによる景気低迷を挙げた声が多かった。

 「現時点においてはコロナによる自粛等ありながらも、通販は堅調であり、消費動向自体が急激に下がっている状況ではないと思う。ただし、コロナ収束までが長期化した場合、景気低迷により消費動向が下がる懸念はある」(GSTV)、「新たに増える消費が起こっているわけではなく、パイの奪い合いをしているに過ぎないため。ただし、減っているという事でもないと感じる」(エー・ビー・シーメディアコム)、「完全に売れ筋のものとそうでないものが二極化しており、本当に必要なものだけを選択して購入するという流れが続くと思われる」(ブレーンコスモス)、「消費のチャネルや対象のモノが変化している傾向はあると思うが、ゴルフに関しては需要が減少しているわけではなく、注文単価や回数が下がっているような傾向もないため」(ゴルフダイジェスト・オンライン)、「Gotoキャンペーン等の消費喚起策で一般消費は上向いているが、経済の先行きが見通せない中で、中長期的には消費は冷え込むことが予想される」(全日空商事)、「コロナ禍において在宅時間が長くなること、店頭、人混みへの足が遠のくことから通販での消費動向は引き続き上向き傾向と捉える一方で経済状況の悪化が深刻化すると、家計支出の減少も想定され、通販への影響も不可避」(ファンケル)など。

 次いで多かった「下がっている」の理由については「コロナ禍での収入の先読みが難しく、また外出する機会も減少しているために消費行動自体が低迷している」(白鳩)、「コロナの影響や節約志向による消費の低迷。ただし、通販については追い風」(ヒラキ)、「Gotoキャンペーンなどもあり一時は回復したように思われたが、再び感染が拡大するなど状況変化に合わせて消費意欲も変わっている」(ジュピターショップチャンネル)、「サービス業、飲食業、観光業の落ち込み」(アスクル)、「コロナにより消費者の価値観が変化したため(節約志向等)」(アダストリア)、「新型コロナウイルス感染症による景気降下と、先行き不透明による心理的不安拡大」(ニッピコラーゲン化粧品)、「新型コロナウイルスの影響により、嗜好品ニーズの低下、式典・ビジネスニーズの需要縮小など消費の抑制傾向が継続しているため」
(ユナイテッドアローズ)、「物販に関するEC市場は拡大傾向にあるものの、リアル店舗は苦戦を予測。また、コト消費に代表される旅行、イベントについてはコロナの影響により低迷し、結果、個人貯蓄は増えるが、消費については全般的に下がると予測」(JALUX)などとなっている。

 「上向いている」を選んだ企業からは「飲み会の減少などによる『自分に使えるお金』の増加。テレワークや時短勤務による『プライベート時間の増加』によって、趣味・ホビー分野においては引き続き消費が促進されると考えている」(大網)、「国内外のECモールで『独身の日』や『ブラックフライデー』、PayPayのキャンペーンなどで売上が伸びており、EC市場では消費動向は上向いているといえる」(MOA)などの声が挙がった。

[ この記事の続き… ]

コロナ禍での各社の各社の影響と対策

新生活様式に即した対応進む
コロナがもたらす事業への影響は?

2021年の事業の課題とは?

新客獲得、既存顧客の継続化多く

2021年通販事業の課題は本誌にて → 購入はこちら >>

NO IMAGE

国内唯一の月刊専門誌 月刊ネット販売

「月刊ネット販売」は、インターネットを介した通信販売、いわゆる「ネット販売」を行うすべての事業者に向けた「インターネット時代のダイレクトマーケター」に贈る国内唯一の月刊専門誌です。ネット販売業界・市場の健全発展推進を編集ポリシーとし、ネット販売市場の最新ニュース、ネット販売実施企業の最新動向、キーマンへのインタビュー、ネット販売ビジネスの成功事例などを詳しくお伝え致します。

CTR IMG