有力ネット販売実施各社の“人財”関連施策 育成制度と福利厚生

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コロナ禍で変わる人材育成、社員定着に向け多様な施策も

 2020年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響から、企業の働き方は大きく変化した。とりわけ、オンラインを活用したテレワークに移行した企業は多く、新卒採用活動をはじめ、日ごろの社員同士のコミュニケーション自体もPCの画面越しで行われることも珍しくなくなっている。

 日常業務では効率性が向上したという反面、若手社員の育成に関しては、そのすべてをオンラインに切り替えることも難しいため、課題が残る部分もあるだろう。また、関連して、育てた社員を会社に定着させるための福利厚生などについても、コロナ禍を契機に新たな内容が取り入れられたところも少なくない。ネット販売を実施する各社で取り組む、人材育成と福利厚生についてまとめた。

育成制度

 ジャパネットグループでは、まず、新卒採用の研修として、入社後、全員で1.5~2カ月程度の研修を行っている。内容としては、外部講演、社会人としてのマナー、ロジカルシンキング、報連相、エクセル、ビジネス文書、社会力研修、受注研修、社内制度・部署研修、社内システム研修など。その後、仮配属を経て各部署への配属となる。その上で、配属後に関してもOJT制度を設けており、1年間マンツーマンでインストラクターがつき1人立ちをサポートしていくという。

 また1年目から6年目までは、若手社員として身に着けてほしいスキル・思考方法を学ぶための集合研修を年に1度実施。ほかにも、全社員を対象にした自由参加型の研修を開催。内容としては、業務に直結するようなEXCEL・プレゼンテーションスキル向上などの研修や、生活を豊かにするための睡眠研修、禁煙研修など多岐に渡っている。会社として資格取得も推奨しており、一部資格には資格取得補助制度も設けるなど、様々な形で社内制度を充実されている。

社会変化を探る活動も

 アスクルでは、入社直後の基礎研修後、現場の業務を学ぶ研修を行っているが、2021年春入社の新卒社員についてはオンラインで実施したという。即戦力育成に向けては、フィールドワーク研修を実施しているが、昨年は「コロナで変わる社会に対して変化の兆しを見つけ、アスクルとして出来ることを探る」を設定。この大きなテーマから、新入社員本人たちの関心事をもとにグルーピングを行い、外出制限が緩和されたタイミングで、スーパーや商店街に観察に行ったり、文献を調べたり、社会全体を大きなフィールドとして活動した。

 スクロールでは、新卒社員向けに2週間の新入社員研修、OJT制度、メンター制度を取り入れている。そのほか、即戦力育成としては、通販検定3級の取得、職種別研修などがある。

 ZOZOでは、年度によって異なるものの、おおむね2カ月程度の研修期間を設定。これまでに実施した、研修の主な内容の例では、会社理解を深める研修、社会人としての基本マナー研修、オリジナル研修がある。オリジナル研修では、入社年度によって様々な内容を実践。過去には、人事部に1カ月仮配属し、実際の人事業務を通じて、仕事の基礎を身に着けてもらう研修を行っている。仕事の進め方、タイムマネジメント、タスク管理、ビジネスマナー、電話対応、ビジネス文章の書き方、議事録作成、プレゼンテーションなどがある。

 ベルーナでは、入社後1週間で導入研修を実施。その後は異なる実務研修を半年程度目安に行う(例年で異なる)。そのほかにも、1年目・2年目・3年目を対象とした若手研修や、ブラザー社員研修などがある。

 新日本製薬では2021年春入社の新卒社員から、1カ月程度の研修を予定。企業理解、ビジネスマナー、ビジネススキルなどを実施。即戦力育成では、階層別研修や業界理解を深める研修に加え、自己研鑽制度として年内で5万円を目安にスキルアップの機会をフォローしている。

 ユーグレナでは、1~2カ月の期間で新卒採用者向けの研修を実施。コロナ禍での実施方法は検討中であるものの、ビジネスパーソン&ユーグレナ社の仲間としてのマインドセット、ビジネススキル、ビジネスマナーの習得を目指した座学と実践を行う予定。また、即戦力育成では、同社の執行役員が「ユーグレナ社で活躍するためのマインドセット」を語る機会を設けている。

 RIZAPグループでは、オンラインでのビジネス基礎知識研修と、約2週間で、通いやすい実店舗にて勤務体験の店舗研修を実施。実店舗での研修により、自社のサービスの本質を学ぶもの。また、基本的な研修を終えた後は早速各部署へ配属となり、OJTで担当業務を行うこととなる。

 MonotaROでは、入社3カ月半でカスタマーサポート、物流、商品情報管理、ITに関する新入社員研修を実施。また、即戦力育成では若手人材の考える力向上、問題解決の基本的考え方について社内研修を実施。さらに、3カ月に1回、新卒・中途問わず新入社員向けに各部門の業務説明研修を実施している。

 オルビスでは、約2カ月間、同社のリテラシーとビジネスリテラシーのインプットを行う。基本的に各社とも、これまでの社員育成に関しては対面を前提としていた内容が多かった。そのため、コロナ禍で動画研修への切り替えを行っている場合があるものの、難航したという声も少なくないようで、オンライン化が進みにくいことが伺えた。

「ホテル受注」の取り組みなどで業務を分散化し、コールセンターはより少人数での運営が可能になった(写真はジャパネットの福岡の拠点の様子)

福利厚生

 育成制度の充実と並び、既存社員も含めた人材の定着化に向けた取り組みとして、福利厚生の充実がポイントとして挙げられている。コロナのように社会環境が大きく揺れ動く中、変化に対応した社員サポートの体制が各社で整備されている。

働き方の多様化に対応

 ジャパネットグループでは、制度の一例として、原則、月・水・金をノー残業デーに設定しているほか、コロナの感染拡大防止のためのスライド出勤を実施。通勤混雑を避けて出勤できるよう7時半~11時での出勤を可としている。同様に、対象期間中は毎週月曜日をリモートデイとしている。

 さらに、3月からは、福利厚生や近隣飲食店への支援の一環として、法人向け社食サービス「びずめし」を全国に先駆けて導入。Gigiが展開する法人向け社食サービスの「びずめし」では、導入企業があらかじめ任意の金額や回数分の電子チケットを購入し、従業員に支給。当該従業員はオフィスの周辺の飲食店などの対象店舗で、代金支払い時に支給を受けた電子チケットをスマートフォン画面で見せることで決済できる流れ。同チケットは同社グループの全国22拠点のうち、社員食堂のない17拠点の従業員約1500人を対象に、会社負担で毎月15食分を支給。パート・アルバイト社員には勤務時間に応じた食数を付与するという。なお、「びずめし」のスマホ画面では昼食代金で浮いた分を気軽に寄付できるよう寄付機能も搭載。寄付先はユニセフや子ども食堂などを任意で選択でき、給与天引きかクレジットカードで寄付できるようにした。

 アスクルでは多様な働き方の実現に向けて、様々な制度を導入している。主なものでは、フレックスタイム制、時短勤務、1時間単位での有給休暇取得、家族の介護などを行う目的で通常の有給休暇とは別に特別休暇を取得できる介護休暇制度、永年勤続休暇などがあり、2021年1月よりテレワークをベースとした働き方を全社に取り入れている。

 そのほか、MBA取得や語学研修のための海外留学、国内の大学や大学院に通うなど、能力開発を実現し、社外でも通用する専門性やスキルを身につけるための休職制度であるエデュケーションサポート休職や、ボランティアサポート休職、50歳以上が対象のセカンドライフサポート休職などがある。

 ジュピターショップチャンネルでは、ハッピーホリデー(記念日特別休暇)制度や、時差出勤制度、在宅勤務制度を導入。QVCジャパンではフレックスタイム制度(コアタイムなし)や、コロナウイルス感染拡大防止とは別に規定として制度化している在宅勤務制度、残業時間月間10時間以下プロジェクトなどがある。

 DINOSCORPORATION(3月1日にディノス・セシールより社名変更)では、時差勤務、時間有給、育児・介護フレックス制度のほか、福利厚生としてカフェポイントが毎年付与され、育児・介護用品補助や、保育園・ベビーシッターの補助などのメニューに使用することもできるカフェテリアプランを導入。テレワークに関しても、全社員向けに在宅勤務できる環境設備を整えた取り組みが認められ、厚生労働省テレワーク宣言応援事業の「テレワーク宣言企業」に選定されている。より柔軟性を持たせるため、モバイルワークという自宅以外の出張先や、外出先などでも働ける環境も条件を満たす希望者に向け展開し始めている。

 ゴルフダイジェスト・オンラインでは、ゴルフ休暇、ゴルフプレー補助金といったゴルフ関連のサポートに加え、リモートワークも導入。コミュニケーションイベントとしても、全社ゴルフ、全体会(全社員参加)、各部キックオフなどがある。

 オークローンマーケティングは、出退勤時間が自由で、かつ月の勤務時間が120時間を超えていれば定時分の180時間働いたとみなすスーパーフレックスタイム制や、時短勤務制度、時間有給休暇がある。在宅勤務制度については、コロナ感染症対策のため、全従業員フルリモートとなっている。そのほか、有給休暇とは別に取得ができるファミリーサポート休暇もある。

 ファンケルでは時短勤務やフレックス勤務制度、在宅勤務を導入。ベルーナでは、「育児短時間勤務制度」として子どもが小学校6年生までの間、時短勤務制度を取り入れているほか、退社時間を午後3時、午後4時、午後5時までと選択することが可能。「ガンバレーション制度」では社員のモチベーション向上を図り、頑張った社員を審査し、表彰していく部門活性化のための取り組みとなっており、表彰された社員には、報奨金の授与などを行う。フェリシモではフレックスタイム制などを導入。マガシークでは、時差出勤制度、1時間ごとの時間単位有休制度、テレワーク制度、自社サイトの取扱商品に関する社員割引購入制度などがある。

 新日本製薬では、新型コロナウイルス感染防止対策の一環として時差出勤、在宅勤務を実施。また、年次有給休暇の5日連続取得の奨励、社員食堂にて管理栄養士監修の充実したメニューの提供(昼食および夕食総菜のサポート)、自分らしさの表現やストレスフリーを目的とした私服勤務などを実施している。

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