ジャパネットたかた、ライブコマース本格化へ――タレントらを司会に起用、販路減少の食品など販売

 ジャパネットたかたは9月27日から、歌手の西川貴教さんらタレントを進行役に訳あり商品などを紹介、販売するライブコマースを開始した。タレントは自身に似せたアバターを介して声で出演、販売する商品の生産者らとともにユーザーの質問などに答えながらテレビ通販番組では紹介しにくい販売数量が少ない食品などを紹介、販売していく。

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月・木の週2回、1時間実施

 タレントを起用したライブコマースは同社の通販アプリ「ジャパネット公式アプリ」上などで毎週2回、月曜日と木曜日の午後8時から1時間にわたって行っている、配信中に商品購入者を募り、購入希望者数があらかじめ設定した目標数に達した場合に購入できる(※一定数に未達の場合は自動キャンセル)顧客参加型ライブコマース「購入約束型みんなで買いまショッピング」で実施する。

 同社ではライブコマースについては8月27日の公式アプリのリニューアルに合わせて、9月2日からスタートしている。

ジャパネットたかたが週2回実施しているライブコマース「購入約束型みんなで買いまショッピング」。9月27日から10月21日までの期間は歌手の西川貴教さん、タレントの藤本美貴さん、山中秀樹さんが進行役を務める(ジャパネットたかたのwebサイトより)

 これまでは通販番組などを進行している同社社員が司会を担当してきたが、同社が2016年7月に通販サイトの名称を「JapanetsenQua(ジャパネットセンカ)」と改称し、それまで販売してきた8000点超の商品を600点程度まで絞り込み、商品ジャンルごとに同社が推奨する商品のみを販売する形へと大幅刷新してから5年目を迎えたことを機に、9月27日から開始した「WEBリニューアル5周年キャンペーン」に合わせて、同日から10月21日までの期間、歌手の西川貴教さんとタレントの藤本美貴さん、山中秀樹さんの3人が、それぞれが日替わりで進行役として、自身に似せたアバターを画面上に表示しつつ「天の声」として音声で出演、出演者である商品の生産者らと掛け合いながら当該商品の特徴など紹介、訴求。また、コメント機能を使ってユーザーから寄せられた商品への質問・疑問、また、タレントへの質問などにもリアルタイムに応えていく。

 ユーザーは配信を通じて当該商品を欲しいと思った場合に画面上の「買います!ボタン」をタップすると予約が成立し、予約数が目標数に達した場合にのみ、購入できる仕組みだ。

 タレントが「天の声」として出演するライブコマースの配信時間はこれまでの「購入約束型みんなで買いまショッピング」と同様、午後8時から1時間。出演日は西川さんが初回の9月27日および10月4・11・18日の4回、藤本さんは10月7・21日、山中さんは9月30日と10月14日でそれぞれ2回の出演となる。

クール便提供も

 アカウントは個人とショップでの使い分けが可能。商品の色やサイズ、在庫数の設定も簡単にできる。さらに、「メルカリ」では付き物の「値下げ交渉」無しで商品を販売することができる。初期費用・月額利用料は無料で、商品が売れた場合に手数料として販売価格の10%を支払う。

 出店者の目標や流通額は非公表。対象となる事業者の規模は限定していないが、すでに自社サイトを開設しているような大手事業者は現状のターゲットではないという。

 ソウゾウの石川佑樹CEOは「卸先に困っている農家や漁師、コロナ禍をきっかけにネット販売を始めた街の飲食店、観光客が減って困っている土地で特産品を販売している人たちや、オリジナル品を作っているハンドメイド作家、個人ブランドのアパレル、ステイホームを充実される雑貨のクリエイターに使ってもらいたい」とする。冷蔵が必要な食品についても販売ができるようにする予定で、年内にもクール便の提供を開始するほか、配送関連の機能も順次拡充していく計画だ。

型落ちものや季節物を安価に

 ライブコマースで販売する商品はコロナ禍による飲食店の営業自粛などに伴い、販路が減少している食品や一度に販売できる数が少なく、同社のテレビ通販番組やネット販売では販売が難しいもの、型落ちものや季節物のなどを通常よりも安価に販売していく。

 なお、初回の9月27日の配信では近江牛すき焼き用肉と山梨県産のシャインマスカットを紹介。9月30日にはのどくろ開きや地酒と酒器のセットを紹介している。

ライブ配信で紹介された商品を「買いたい!」と思う人が一定数に達すると購入できる(ジャパネットたかたの web サイトより)

 同社では9月2日からプレスタートさせたライブコマースを、今回のタレントを進行役に起用した試みを機に本格化させ、ライブコマースによる商品販売を強化していく考え。また、同社では通販アプリ「ジャパネット公式アプリ」のダウンロードを促す施策として、現在、同アプリのダウンロード・ログインをしたユーザーに同社の通販サイトでの決済時に使用できるWEBクーポン(1000円分)の付与を行っているが、同施策に合わせてタレント起用したライブコマースの配信でより新規のダウンロードを促していきたい考えのようだ。

 コロナ禍でライブコマースが注目され、実施するところは増えたが、「動画で商品を紹介・訴求する」という取り組みは、これまでのECとは似て非なるもので売り上げという面で成果をあげ続けている事業者は少ないのが実情。テレビ通販という動画での訴求に長けたジャパネットたかたのライブコマースの行方が注視されそうだ。

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