STORES、ECアプリ作成サービス開始――ECと店の情報を一元管理で適切な訴求を

 

 通販サイト構築サービス「STORES(ストアーズ)」などを展開するSTORESは2022年12月19日から、ネット販売事業者向けにモバイルアプリ作成サービスを開始した。2022年7月から展開中の実店舗運営者向けアプリ作成サービス「STORESブランドアプリ」が同日から通販サイト構築サービス「Shopify(ショッピファイ)」との連携を開始。これにより、「Shopify」を利用して通販サイトを構築する事業者は「STORESブランドアプリ」でモバイルアプリを作成できるもの。同事業者が実店舗も運営している場合、店舗のPOSレジ情報とECの顧客の情報を統合して実店舗と通販サイトの顧客データを一元管理でき、顧客に最適なセール情報や来店促進のための特典付与などをアプリのプッシュ通知機能で訴求できるようになるという。

 同一顧客が実店舗や通販サイトで商品を購入している場合でも紐付けや連携が難しく、店舗と通販サイトで別々の管理となり、独自ポイントがECと店舗で別々の運用となるなどし、顧客ごとに適切な施策を打てない事業者も多い。「(『STORESブランドアプリ』を使うことで)通販サイトと実店舗の情報を統合して顧客ごとに適切なマーケティング施策を打てるようになり、通販サイトでのリピート率向上や来店促進が可能になる」(内田皓大CRM事業部門長)という。


店舗と通販サイトの情報を一元管理して、店・EC をまたいで顧客に適切なアプローチが可能となるアプ リ作成サービス「STORES ブランドアプリ」
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実店舗とECの顧客情報を統合

 「STORESブランドアプリ」は同社が2022年7月7日から提供を開始した実店舗運営事業者向けのアプリ作成サービスで、実店舗運営事業者が来店客に対して、管理画面で顧客属性や来店周期、再来店傾向の確認などを曜日や時間帯、店舗別で閲覧可能な顧客分析機能のほか、アプリ上のアンケート配信で個別の好みや嗜好性も取得できる。また、顧客の利用状況から例えば「1カ月以内に来店した人」など任意のターゲットに対してメッセージや特典など来店促進や購入意欲を高められるようなメッセージやクーポン特典をプッシュ通知で自動配信できるもの。ランク制度やポイントプログラムなどの仕組みも実施できるものだ。

「STORESブランドアプリ」で作成したアプリでよって、店やECの購買履歴などの情報をもとにプッシュ通知で適切にクーポン発行やポイント付与を行え、来店促進や購買促進を行える

 今回、「Shopify」との連携を開始してことで、こうした実店舗の来店客へアプローチできる機能に加えて、「Shopify」を使って構築している通販サイトであれば実店舗のPOS情報と通販サイトの購買情報などを連携されることが可能になった。これにより、顧客の名前をもとに両方の情報を紐付けることで、オンライン・オフラインでの顧客情報を統合して分析、把握が可能となり、例えば、プッシュ通知を使ってECの利用者に実店舗への来店促進を図ったり、逆に実店舗のみしか利用したことがない顧客に対して通販サイトの利用を促すメッセージを送信したり、ECのクーポンコードを送って、クロスセルを促すなどが可能になる。

 なお、店舗もECも利用するような顧客に対して、こうした販促を行えるのは「STORESブランドアプリ」の2つのプランのうち、月額税込33万円を徴収する「エンタープライズプラン」となる。月額税込22万円で利用できる「スタンダードプラン」はECサイトとの連携などには対応しておらず、顧客管理や自動プッシュ通知などの基本機能のみを利用できる。

 2プランとも導入費用は徴収しないが、5年以内の解約時には解約費用を徴収する。初年度での解約の場合には100万円、以降、1年後ごとに解約費用は20万円ずつ下がっていく形となる。

STORES利用のECサイトの連動も

 同社によると、これまでアプリを開発しようとすると多額の人手や開発コストがかかるケースが多く、また、どのような機能を入れ込むべきか悩んでしまうことがあり、中小規模の事業者にはハードルが高かったようだが、「STORESブランドアプリ」は有償の追加機能などが必要なく、初めから必要機能を備えていること。また、競合サービスで「STORESブランドアプリ」と同様の機能を持つアプリを運営する場合、「100万円近い月額費がかかるのではないか」(同社)とし、それと比較すると安価に抑えていること。加えて、ECと連携したアプリ作成サービスは多いが、実店舗とECを連携させたアプリ作成サービスはあまりないことなどの強みをいかして、導入事業者を増やしていきたい考え。

 現状の導入事業者の傾向については「実店舗とECの顧客情報やポイント情報を統合しようとすると通常はPOSとEC両方の開発に加え、複数アプリを導入してようやく可能になり、かかる手間も費用も少なくないが、(STORESブランドアプリは)1つで可能になるため、各業界から引き合いが多い」(内田CRM事業部門長)とし、ファミリーレストランやラーメン店、喫茶店などを展開する飲食チェーンなどのほか、ネット販売実施企業では台湾発の化粧品ブランド「阿原YUAN」を実店舗や通販サイトで販売するクラフトパークスらが「STORESブランドアプリ」を導入している。

今後、「Shopify」のほか、「STORESブランドアプリ」に紐付けられるECサイトを増やしていく。2023年中をめどに「STORES」を利用して通販サイトを構築している事業者向けにも「STORESブランドアプリ」を使ってモバイルアプリを作成できるようにしていく考えで、2~3年以内に100社超の利用社数獲得を目指すとしている。

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