アマゾンジャパン、配送事業の起業支援――商品配達委託先育て配送力強化へ

 アマゾンジャパンは3月30日から、配送事業の起業を支援する取り組みを本格化すると発表した。同社商品の配送を請け負いたい人の配送事業会社の起業を支援、アマゾンが運営する通販サイトで受注した商品の配送業務を委託する配送業者「デリバリーサービスパートナー(DSP)」として組み込む。これまでDSPは広く配送事業を行う中規模の事業者を対象としており、小規模または経験のない事業者は対象外としていた。

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安価に自動車保険に加入、ガソリンの給油も

 アマゾンは配送事業会社を起業したい事業主に対して、自動車保険に通常よりも安価な保険料で加入できる案内や安価にガソリンを給油できる給油カードの付与などを行うほか、アマゾンが定期的に一定の荷物の配送委託を行うことで安定的な収益を得られるようにするなどして支援する。

 当該事業主は年間を通じて平均20~40台で、アマゾンの単一の「デリバリーステーション」(物流施設からの配送品を集積し周辺エリアの顧客宅まで配送する最終配送拠点)内で配送事業を運営することになるという。

配送会社の起業を支援して配送委託先の確保を進めるアマゾン(画像はアマゾンによるDSPの募集ページ)

 まずは東京23区と埼玉県、神奈川県、千葉県で新たにDSPの募集を行うという。事業者は専用ウェブサイトから申し込みを行い、履歴書や職務経歴書、財務情報を提出する。参加費などは徴収しない。

 日本では丸和運輸機関やSBSら一定の事業規模を誇る運送会社に限定してこれまでDSPとして配送委託を行ってきたが、米社を含む日本以外のアマゾンではDSPとして配送を委託する配送事業者はむしろ、今回のアマゾンジャパンが開始したような小規模な配送事業者やアマゾンに荷物の配送を請け負いながら起業を志す人が立ち上げた配送事業会社を組み込むような形の方が一般的で日本のみDSPの位置づけがこれまで異例だったようだ。

ラストワンマイル配送の強化であの手この手

 アマゾンではラストワンマイル配送強化のため、現状の配送の委託先であるヤマト運輸や佐川急便、日本郵便ら大手配送事業者と中小配送業者に委託するDSP、個人事業主に委託するAmazonFlexに加えて、2022年12月からは街の商店らに副業として荷物の配送を委託する「AmazonHubデリバリーパートナープログラム」の運用を本格化している。これらに加えて、配送事業の起業を支援してDSPに組み込む取り組みを行うことで、さらなるラストワンマイル配送強化を図っていく考え。

 なお、同社では配送力の強化に加えて、2019年9月から「AmazonHubロッカー」と「AmazonHubカウンター」の運用を開始。駅やコンビニなどに設置したロッカーや提携先の小売店などの店舗カウンターでアマゾンの注文商品を受け取ることができるものだ。また、2020年3月からは顧客の利便性アップや再配達抑制による配送員の負担軽減などを目的に一部地域を除いて「置き配」を標準配送とした。さらにオートロック付きの集合住宅で顧客が不在の場合でも、配送員がマンション内に立ち入り、置き配が可能になるよう2021年3月から集合住宅の入居者への商品配送時に配送員がオートロックを解除できる仕組み「KeyforBusiness(キー・フォー・ビジネス)」の導入を開始し、2023年3月現在、合計19都道府県で5000棟以上の集合住宅が同仕組みに対応しているなど、あの手この手で配送の担い手の拡充やラストワンマイル配送の強化、再配達の抑制策などを行っている。

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