「ティアラ」や「マルティニーク」などを展開するアパレル企業のメルローズは、EC主軸のセレクトショップ「サードマガジン」において、消費者とのタッチポイントをオフライン、オンラインの双方で増やしている。
「サードマガジン」は、ファッション誌やインスタグラムのブランド公式アカウントからサイトを訪れる消費者が多かったが、リアルの場では百貨店を中心にポップアップストアを春夏、秋冬のシーズンごとに出店して認知を高めている。
今年も2月15日~21日に阪急うめだ本店、5月17日~23日には伊勢丹新宿店本館にポップアップストアを出店した。
ポップアップではその場で商品を販売するほか、伊勢丹新宿店への出店時には「三越伊勢丹オンラインストア」でも商品を期間限定販売するなど、出店先のECチャネルも活用して新規ユーザーの取り込みを図った。
一方、全社プロジェクトとして取り組んでいた実店舗と自社ECの会員ID統合が昨年までに完了。ポイントも共通化した。
「サードマガジン」は東京・代官山にショールーミングストアを構えているものの、通常の実店舗は持たないほか、主力ブランドを取り扱う通販サイト「メルローズストア」とは別サイトで運営しているが、当該サイトには同じ世代を顧客層に持つファッションブランドが複数あるため、キャンペーン情報などを契機に、「サードマガジン」のサイトも閲覧してもらえるようになったという。
また、消費者の店頭回帰が進む中、デジタル施策の強化に向けてMAツールの活用や、LINEを通じた顧客接点の拡大に取り組んでいる。MAツールについては「メルローズストア」が先行して導入しており、昨夏から「サードマガジン」でも活用を始めた。
メール以外のコミュニケーションツールとしてはLINEに期待している。従来から「再入荷リクエスト商品」のメール開封率や購入率が高いこともあり、専用ツールを使ってLINE経由でも同様の情報発信を開始。配信タイミングはほぼ同時ながら、チェックされやすいLINE経由のサイト流入も増えているという。
足もとでは動画活用も強化している。商品ページには画像と一緒にモデルを起用した短尺動画を掲載するほか、人気のインスタライブも充実させる。ビジュアルマーケティングツールを活用してインスタライブのアーカイブを「MOVIE」コンテンツに集約。動画を視聴すると、インスタライブで紹介するアイテムを一覧で確認できるようにし、ユーザーの購入意欲が高いうちに販売につなげる仕組みを整えた(画像)。
今後は、SNSなどでバズった特定の商品を目当てにECを利用した消費者に対し、効果的な提案を行ってリピート化することなどが課題という。