「楽天市場」でタイ産品拡販へ――タイ商務省と覚書、アンテナ店開設も

 楽天グループは5月10日、タイの商務省国際貿易振興局(DITP)とタイ産品の販売促進について覚書を締結した。仮想モール「楽天市場」において、出店店舗が販売するタイ産品を集めたページ「TOPTHAI(トップタイ)ストア」を開設。約3000アイテムを扱う。今後はタイ産品を販売する、タイ公式ショップを楽天市場内に開設する予定。同社が外国とECにおいて連携するのは初となる。

左から、楽天グループの武田和徳副社長、タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ副首 相兼商務大臣、DITP のプーシット・ラタナクン・セーリールーンリット局長
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他国と同様の取り組みも

 今回の覚書は、DITPが各国の主要ECプラットフォーム運営者と連携して実施している、タイ産品の認知拡大や販促を目的とした「トップタイ」の一環。これまで9カ国・地域でプロジェクトを展開しており、日本での連携先として楽天が選ばれた。

 同日には楽天市場内にタイ産品を集めたページを開設。同社が保有するマーケティングデータを活用した販促も展開する。同社の武田和徳取締役副社長は「楽天には1億超のIDがあり、楽天市場や楽天トラベル、楽天カードのデータのほか、ぐるなびが保有するレストランの予約データもある。タイの文化や商品と接点のあるデータを使いながら、メンバーシップを有効活用していく」と述べた。また、タイ起業家の能力開発促進や支援にも取り組む。

 今後は、トップタイストアで扱うアイテム数を拡大していくほか、タイ公式ショップの開設も視野に入れる。地域創生事業共創事業推進部地域共創課の柘植正基シニアマネージャーは「タイのアンテナショップとして、日本にないタイ産品をインポートしてきたい」と展望を語る。同社ではこれまで、地域創生を図るため、日本各地の自治体と協業、楽天市場内に自治体のアンテナショップを構えてきた。今後はタイだけではなく、他国とも同様の取り組みを推進する構え。

 同社とDITPは、2021年から毎年、楽天市場において「タイ産品PR特集企画」を開催。昨年は東京・代々木公園で開催された「タイフェスティバル東京」において、DITPと連携し、楽天市場内で「タイフェア」を同時開催した。「これまでは期間限定の取り組みだったが、常設化したいという要望がDITPからあった」(柘植シニアマネージャー)のが覚書締結の端緒という。

 取り組みの第1弾として、同日から7月10日まで、トップタイストアにおいて「トップタイ物産展」を開催。タイ産品の魅力を紹介したり、タイの食材や調味料を使ったレシピを紹介したりするほか、クーポンも配布する。

品質高いタイ産品を紹介

 5月10日の記者会見では、武田副社長が「世界各国でDITPが実施しているトップタイプロジェクトにおいて、当社をパートナーに選んでいただけたことを大変光栄に思う。これを機に、楽天市場でタイ産品を扱う店舗や商品数を増やすとともに、ユーザーに対してもタイ産品との出会いを提供し、タイの魅力を感じられる場を提供していきたい」とあいさつした。

 DITPのプーシット・ラタナクン・セーリールーンリット局長は「楽天グループはタイの日本における力強いパートナー。今回の覚書は、タイ産品の海外オンライン市場に向けた輸出拡大の施策の一つだ。これにより、日本の消費者はタイ産品を一層買いやすくなる。DITPは楽天のプラットフォームのポテンシャルに全幅の信頼を寄せており、この協力関係が、日本とタイとの貿易において、新しい分野の商品の促進に繋がることを期待している」と述べた。

 また、タイのプームタム・ウェーチャヤチャイ副首相兼商務大臣は、楽天をパートナーとして選んだ理由について「楽天は日本のトップ企業であるだけではなく、世界でも有名な企業だから」と説明。その上で「これまでもいろいろな国のプラットフォームと協力してきたが、日本の企業と協力できたということで、期待は大きい。日本の消費者は品質へのこだわりが強いので、私たちも高い品質のタイ産品を紹介していきたい」と意欲を語った。また、特にアピールしたいタイ産品については「バナナやドリアン、マンゴスチン、マンゴーといったフルーツを試してもらいたい」とした。

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