アマゾン「相乗り出品」控訴審始まる――システム構築の事前義務争点に

 医療機器の製造・販売2社がアマゾンジャパンに損害賠償を求めた訴訟は今年9月、東京高裁で始まった。原告は、違法な相乗り出品防ぐシステム構築に関する〝事前義務〟があると訴える。アマゾンが独占的な経済利益の確保を目的にほかの出品者を排除したと評価した点について、控訴審で原告の医療機器販売会社は、「侮辱的で極めて心外」と訴えた。

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一審は、アマゾンの賠償責任認める

 医療機器の輸入、製造販売を行うトライアンドイー、同社製品の独占販売を行うエクセルプランが2022年、約2億8000万円の損害賠償を求め提訴していた。

 地裁で原告は、1相乗り出品者の販売資格の有無、偽造品かを確認し、不正出品を調査・排除する義務(事前義務)、2申告により知り得た場合、合理的期間内に排除する義務(事後の義務)、3合理的理由なく出品停止・削除しない義務、4事実誤認に基づくレビューを削除する義務─を主張した。これに加え、出品者の損害に対する賠償責任を負わないとする免責条項、損害の限定に関する契約条項も不当と指摘している。

 今年4月、東京地裁は不正出品の取締りなど一定の義務違反を認め、2社に3500万円の支払いを命じた。一方で義務履行の措置はアマゾンに委ねられるとして、適正なシステム構築に関する事前義務は否定された。特殊な医療機器の販売に関する薬機法上の規制対象は販売事業者にあり、場の提供者であるプラットフォーマーを対象にしたものと判示している。双方が判決を不服として控訴していた。

 控訴審で原告は、知り得た不正出品への対処だけでなく、「相乗り出品」の形式などサイトの構造を捉え、欠陥のないシステム構築の義務を負うと主張する。とくに販売許可や適正な管理が必要な特殊な医療機器は、事前に対処する必要性が高い領域としている。

 トライ社とエクセル社は、アマゾンのサイトでパルスオキシメーターを販売していた。販売にあたり薬機法に基づく管理、製品の認証、都道府県の販売業許可が必要になる。だが、コロナ禍の需要の高まりを受けて不正出品が増加。10分の1の価格で相乗り出品されたことで、月1億円超の売り上げが60万円まで激減したという。レビューも悪化した。アマゾンに複数回に渡り対応を求めたが、正規の出品者であるエクセル社の製品を含む出品停止、商品ページの削除などで損害を受けた。

 商品を軸に複数の出品者が集約される「相乗り出品」は、アマゾンのプラットフォームの特徴の一つ。同一の商品を価格比較できる利便性があるが、安価な不正出品により、正規の出品者は不当な競争を強いられる可能性がある。

「原告の利益確保目的」は「極めて心外」

 トライ社の藤井敬博社長は今年9月に行われた口頭弁論で、「アマゾンジャパンは、『地球上で最もお客様を大切にする企業になる』というミッションを掲げ、その『お客様』には販売事業者も含まれると明言している。にも拘わらず、法廷では『原告らが求めているのは、結局のところ、独占的な経済的利益の確保を目的として…原告ら以外の出品者による販売を阻止したいという点に尽きる』と主張している。我々の切実な訴えを単なる利益独占欲に矮小化し、侮辱的で極めて心外」などと述べた。同社は訴訟に至る23年12月以前の7年数カ月でアマゾンに1億2500万円以上の販売手数料を支払ってきたという。

 今回の訴訟では、アマゾンの出品方式である「相乗り出品」の大前提となる「1つの商品詳細ページには同一の商品のみが出品される」という「至極当然のルールが守られること」を求めている。こうした出品形式において、偽造品や無許可販売といった違法な出品を行う事業者と利益を分け合わなければならない点を改善すべきと指摘した。裁判中も他社の医療機器認証番号を盗用したなりすましの未認証医療機器パルスオキシメーターの販売事例が見つかったと指摘している。

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