高島屋、冷凍クリスマスケーキがぐちゃぐちゃに――「原因特定できず」の会見に波紋も

  高島屋は2023年12月27日、同社のオンラインストで販売、配送した冷凍クリスマスケーキの複数の商品が崩れた状態で届いた問題について、都内の本社オフィスで横山和久専務が会見を行い、購入者などに謝罪した上で、「製造委託先と配送委託先に対して調査をしたが、明確な原因を特定することができなかった。原因が特定できる管理体制を構築できなかった責任はすべて当社にある」とした。問題発覚時は高島屋の顧客対応を評価する声がSNS上で散見されたが、その後は「通販でクリスマスケーキを買うことが間違い」「もう高島屋でケーキは買わない」など否定的な意見も。早期に会見を開いたものの販売主である高島屋が原因追求をあきらめたことで「通販=低品質」というイメージが広がる可能性もあり、同件は後を引きそうだ。

冷凍クリスマスケーキの破損問題で会見した横山専務は「原因を特定できなかった」とした

 商品の破損が問題になったのは横浜のフランス料理店「レ・サンス」が監修した冷凍クリスマスケーキ「ストロベリーフリルショートケーキ」(税込5400円)で、高島屋の通販サイト「高島屋オンラインストア」で23年9月20日~12月9日の受注期間に2879個を販売。当該商品は12月16日~25日に冷凍状態で配送されたが、ケーキが崩れていたという投稿がSNS上で相次ぎ、同社もホームページ上で謝罪していた。

 12月26日午後8時時点で1046人の購入者と連絡がとれ、そのうち807件の破損を確認。返金するなどで対応した。破損したケーキの配送エリアは特定の地域に限らず全国に及んだ。問題のクリスマスケーキは埼玉県内のケーキメーカー、ウィンズ・アークが製造を、ヤマト運輸が配送を請け負った。同じ商品は22年も販売しているが、大きな商品破損はなかったという。「企画、製造、配送に至るまでのプロセスはしっかりしていて、今回も自信を持って販売した」(横山専務)と強調する。

 高島屋によると、製造委託先からは商品製造後の冷凍保管期間中の温度管理およびサンプル検査における中心温度は適切で、また、製造工程においては昨年と冷凍時間に変更があったものの、事前の冷凍試験や実際のサンプル検査で問題は生じなかったという調査結果を受けたという。

 製造後の温度管理については、マイナス18度以下で管理し、保管期間中は1日1回のサンプル調査を実施し、中心温度を確認する決まりだ。例年、製造後の冷凍期間は2週間だったが、23年はイチゴの入荷遅れによって20時間~25時間の冷凍期間にとどまった。ただ、事前のテストにおいて20時間以上冷凍すれば冷凍ケーキの中心、表面ともに問題がないことが確認できていて、サンプル調査もクリアしていたとする。

 配送委託先からは、製造工場に集荷をした際や埼玉県の羽生営業所でクールボックスに積み替えたとき、同県の仕分け基地に輸送した段階、全国の仕分け基地に届いた段階のすべてで規定の温度で管理されていたほか、集荷に使用した車両の故障などもなかったと報告を受けた。

 高島屋では、「過去にケーキの破損はゼロではないが、今回のような(大きな)件数は初めて。製造、配送の各委託先で調査をしたが、ピンポイントで明確な破損の原因を判断するのは不可能だった」(同)とし、今後、製造から配送までのサプライチェーンにおける各段階の取引先と関係を強化し、再発防止に取り組む考え。

 今回のクリスマスケ―キを監修した「レ・サンス」はおせちも監修しているが、こちらは同店で製造もしており、高島屋側も製造現場を確認済みで、予定通り配送した。また、おせち商戦や「高島屋オンラインストア」全体で注文のキャンセルが相次ぐなどの状況にはないという。

 なお、高島屋は百貨店ののれんを掲げた通販カタログを発刊しているほか、コロナ禍を機にEC強化を加速。2023年2月期の通販売上高は前年比8%増の約507億円だった。

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