NTTドコモ、直販サイト「dショッピング」を新設

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「アマゾンになる」の第一歩

出所:NTTドコモ

 NTTドコモがスマートフォンを介したネット販売ビジネスの拡大に向けて本格的な取り組みを進める。同社が展開するスマートフォン向けのデジタルコンテンツ販売サイト
「dマーケット」で2012年12月中旬にも物販の専用コーナー「dショッピング」を新設。ドコモの直販サイトとして、傘下の通販企業の商品を取り扱うほか、「爽快ドラッグ」などの有力ネット販売事業者とも組み、日用品など約7万点を販売する。今後は、アパレルや書籍、ゲームソフトの通販事業者と連携し、当該ジャンルの取り扱いも計画している模様だ。

 ドコモは中期計画の中で今後は大きな成長が見込めない本業の携帯電話事業に代わって、今後の同社の成長力を維持する戦略として、周辺分野への進出を挙げている。その中の1つとしてネット販売分野への進出があるわけだ。このため、テレビ通
販大手のオークローンマーケティングや食材宅配のらでぃっしゅぼーや、タワーレコードなど通販実施企業の買収を進め、「ドコモの通販」として展開するための布石を整えてきた。

 今夏にはドコモの加藤社長が一部報道でスマホを活用してネット販売を本格化して、「段階を踏んでアマゾンになる」とコメントしており、今回の「dショッピング」のスタートはそうした加藤社長の発言を具現化したものと言え、満を持しての通販展開と言えそうだ。

 国内最大の携帯電話キャリアが手がける直販サイトとは。また、今後、どのような通販企業をパートナーに選び、どんな商材を展開していくのか。スマホでのECで今後、有力な売り場の1つと目される「dショッピング」の行方が注視されそうだ。

7万点を取り扱い

 ドコモはスマホやタブレット端末の利用者などにアプリや電子書籍、音楽、動画などのデジタルコンテンツを配信するためのポータルサイト「dマーケット」の中に物販の専用コーナー「dショッピング」を新設し、12月中旬からネット販売を始める計画だ。

 「dショッピング」はドコモによる直販サイトという位置づけ。ただ、実際にドコモが仕入れ販売を行なうのではなく、同社が選定したネット販売事業者と組んで、当該事業経由で商品を顧客に配送するドロップシッピングに近い形となる模様だ。

 12月のスタート時点では住友商事グループで医薬品や日用品のネット販売を行なう「爽快ドラッグ」と組み、同社の取扱商品の中から一部、医薬品などを除いた飲料や水などの食品、洗剤などの日用雑貨など7万点を中心に販売する予定。

 これに加えてドコモ傘下の通販企業であるオークローンマーケティングのフィットネス器具や家電。また、らでぃっしゅぼーやの有機野菜なども販売する予定。なお、ドコモ傘下の「タワーレコード」の商品は「dショッピング」内では販売しないが、同社の通販サイトへのリンクは行なう予定。

「グループかどうかは関係ない」

 しかし、解せないのは「dショッピング」でメーンに販売する商材をわざわざドコモのグループではない「爽快ドラッグ」の商品とする点。この理由についてはドコモでは「顧
客のし好や要望に合致するであろう商品を展開する。この際、連携する通販企業がグループかどうかは関係なく、同社の直販サイトとして展開する上で資本や物流体制などがしっかりしている企業を選んだ結果」(同社)としている。要は目指すべきアマゾンのスキームと同様、「dショッピング」をインターネット通販事業のプラットホームと位置づけて、できる商材は自社グループで、自前ではできない商材は他社との連携で調達し、「売り場」全体としての質の向上と規模拡大を進めたい狙いだろう。

個人情報入力の手間省く

 「dショッピング」では買い物時の顧客情報などは携帯電話の契約時の情報を活用し、会員登録入力などの顧客の手間を省いている。

 また、決済はクレジットカードのほか、毎月の携帯電話代金と一緒に商品代金を徴収する「ドコモケータイ払い」(決済上限額は3万円)にも対応。なお、購入額に応じて独自ポイント「ドコモポイント」も付与、またドコモの音声検索アプリ「しゃべってコンシェル」にも対応。音声での商品検索も行なえる。

 ドコモの携帯電話の契約者であれば「簡単かつお得にネットショッピングができる」―。こうした携帯電話キャリアならではの利便性を駆使し、幅広い世代で利用者の拡大につなげていく考えだ。

アパレルや書籍の取り扱いも

 今後、「dショッピング」では取扱商品を順次、拡充していく考えで、具体的にはアパレルや書籍、ゲームソフトなどを検討している模様。 日用雑貨で「爽快ドラッグ」と組
んだように、取扱商品の拡充の際には、当該ジャンルを販売するネット販売実施企業と連携する模様。連携先は「当社の基準で選定して先方にお声がけさせて頂く」(同社)としている。 日本最大の携帯電話の契約者数を誇るドコモが展開する直販サイトには、一定数の利用者がつくことは明白で、そこで商品を販売することができれば、当該EC企業にとってはメリットは非常に大きい。

 ドコモが今後、どのようなジャンルの商材を販売したいと考え、どのようなネット販売事業者と連携するのか。「注目の売り場」だけに今後の行方が注視されそうだ。

 なお、「dマーケット」には「dショッピング」のほか、バンダイナムコゲームスやコナミデジタルエンタテインメントなど大手ゲーム会社と協業したゲームサービス「dゲーム」も新設する予定。11月下旬からソーシャルゲームやオリジナルゲームの新作など15タイトルを提供していく予定。

 ドコモでは物販とデジタルコンテンツを含めた「スマホの総合通販サイト」として体制を整え、スマホ時代の新たなECのプラットホームの構築を進めていく考えのようだ。

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