スタートトゥデイは12月15日、ファッションアイテムに特化したフリマ(フリーマーケット)アプリの配信を始めた。フリマアプリは「メルカリ」など複数の企業がすでに事業を展開している。後発となるスタートトゥデイでは、ファッション通販サイト「ゾゾタウン」やファッションコーディネートアプリ「ウェア」といった同社の既存事業の商品データベースを活用することで、ユーザーが写真や商品説明を用意せずに手軽に古着を出品できる仕組みを提供。これにより既存のフリマサービスなどと差別化を図っていく。初年度(~2016年3月)で流通総額35億円を目標に掲げている。
販売額の10%を徴収
新たに始めたのは「ZOZO(ゾゾ)フリマ」。運営はグループ会社で簡単に通販サイトを作成できるサービス「ストアーズ・ドット・ジェーピー」を提供するブラケットが行う。「ゾゾフリマ」の魅力は出品までの手軽さだ。ユーザーは出品する際にまず「検索」「クローゼット」「カメラ」の中から出品方法を選択する。
「クローゼット」では、「ゾゾタウン」の購入履歴や「ウェア」に登録している自身の洋服一覧の中から売りたい古着を選ぶ。アプリが「ゾゾタウン」や「ウェア」のデータベースと紐づいているため、古着を選択すれば自動的に商品画像や商品説明も表示される。そのため出品者は撮影や商品情報の入力をする必要はない。古着のため今のコンディションを示す場合は出品者が自分で撮影した画像を組み合わせることもできる。
また、「ゾゾタウン」で購入していない商品であっても、「検索」という出品方法を選ぶと、カテゴリーやブランド、色などから「ゾゾタウン」内のデータベースを検索。「ゾゾタウン」で扱っていたものであればその画像や商品情報を利用することができる。
商品が売れると出品者が商品を配送。その際は「元払い」と「着払い」のほかに、全国一律500円で名前や住所を公開しないエスクロー配送にも対応する。出品は無料だが、売れた際に販売額の10%を手数料として徴収される。
フリマサービス開始に伴って「ゾゾタウン」内にも新たに「フリマ」というタブを加え、これまでの「新品」と「古着」のほかにフリマ商品も「ゾゾタウン」内で露出されるようにする。ただ、フリマ商品の売買については「ゾゾフリマ」アプリ内に限るようだ。
今後は「ゾゾフリマ」に出品された商品のうち、一定期間が経過しても買い手が付かない場合には、グループ中古品買取販売サービス「ゾゾユーズド」で買い取って販売するといった取り組みも計画しているようだ。
【フリマアプリの担当者が語る「ZOZO フリマ」の狙いや戦略について】
スタートトゥデイ取締役の澤田宏太郎氏とブラケット代表取締役の光本勇介氏が構想するフリマサービス開始の経緯や狙い、あるいは戦略とは。両氏がそれぞれの立場から考えを語った。
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Q:「ZOZOフリマ」を始めたいきさつは?
光本:もはやフリマアプリは目新しいわけではありません。数年前くらいから展開するプレーヤーは結構いらっしゃる。ただ、これまでは情報感度が高い人が使っていましたが、ようやくマスで使われるサービスになりつつあるので、このくらいのタイミングがちょうどいい。私たちはグループとして、「ゾゾタウン」と「ウェア」を合わせると月間で2000万人以上の方々が利用していて、ファッションが好きということでセグメントもされています。過去の購買データに加え、「ウェア」では600万人のクローゼットの中身も知っています。つまり、どういった商材を持っているかといった情報を持っています。そうした方々が簡単に服を売買できる場を展開することで、フリマの中でもアパレルの部分を奪っていくようなチャレンジができると思い、今回フリマ市場に参入することになりました。
Q:グループの中でどうしてブラケットが運営を担うということになったのでしょうか。
澤田:グループの中でどこが何をやるかというのは、得意不得意で簡単に分けていて、あまり子会社や親会社など意識はしていません。たまたまこの領域であればブラケットが得意だと判断しました。
光本:今後は「ストアーズ・ドット・ジェーピー」の事業とフリマアプリの2つの事業を展開していきます。それに伴って、人員も増強しています。
Q:出品の手続きが非常に簡単です。
光本:「クローゼット」という方法を選択すると、過去に「ゾゾタウン」で買ったものや「ウェア」で登録している商品が表示されます。例えばTシャツを売る場合であれば、商品を選んでサイズを決めると、出品ができます。改めて写真を撮ったり商品情報を記載する必要はありません。また、商品を選択すると、自動的に二次流通の市場価格を提示します。もちろん金額は自分で変えることが可能です。
Q:既存事業とのシナジーについては。
光本:「ZOZOフリマ」の売り上げを現金で受け取るだけでなくゾゾポイントに変換することもできます。ゾゾポイントの場合は現金よりも多く受け取ることができるので、手に入れたポイントによって「ゾゾタウン」で新品が買えます。その意味で古着を売って新品を買うという導線も提供できます。新品を買える導線まで用意しているフリマアプリは他にはありません。
Q:アプリをユーザーに使ってもらうにはダウンロードを促す必要がありますが、それはどのように?
光本:基本的に「ゾゾタウン」や「ウェア」の会員に圧倒的に使っていただきやすいアプリですので、そうした方にプロモーションを行っていく予定です。会員以外の方も、「ゾゾタウン」で買い物をしていて、「フリマ」というタで商品詳細ページを見ると、通常の購入ボタンのところが「アプリをダウンロードして購入」というボタンになっいます。それを押すとアプリのダウンロードページに遷移します。
Q:どのくらいで黒字化できそうでしょうか。
澤田:CtoCのサービスのため、モノ自体はお客様が送ってくださるので、投資は少なくて済みます。どちらかというとメディア事業に近いです。同じくメディア事業である「ウェア」は、今のところマネタイズしていませんが、「ZOZOフリマ」は販売額の10%が取得できるため、黒字化は早いとみています。