「独身の日」直前!各専門家に聞く 中国越境ECの成功のポイントは?

11 月11 日――。「独身の日」と呼ばれるその日に中国で行われる最大のEC セールでは、たった1日だけで莫大な金額が動く。このセールは中国国内のEC 事業者のみならず、日本のEC 事業者にとっても、もはや大きな商機となっている。間もなく「独身の日」を迎える今、この一大セールを含め、中国への越境EC で日本のEC 事業者が成功をおさめるには何がポイントとなるのだろうか。最新の傾向や対策などを中国への越境EC に詳しい各専門家に聞き、巨大マーケットにおける成功条件を探った。

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アリババ マーチャント支援部 オペレーションマネージャー 木村良子 氏

「独身の日」成功すれば見返りも大【アリババ】

独身の日の規模は年々拡大


Q:アリババグループが主体となった11月11日の「独身の日」は日本でもすっかり有名になり、越境ECモール「天猫国際」でも好調に売り上げる日本企業が多く生まれています。最近の傾向を教えてください。

A:独身の日がメディアで大きく取り上げられるようになったのは数年前からですが、規模は毎年拡大しており、今年も去年を上回る売り上げを見込んでいます。傾向としては、年々日本を含む海外企業の参画が増えており、小売り企業だけではなく、メーカーが直接関わるケースが増えています。店舗をモールに出店するのが一般的ですが、商品ラインアップが少ない企業や、規模があまり大きくなく、出店モデルだと利益が確保しにくい企業の場合、卸モデルを採用するケースもあります。つまり、天猫国際の公式ショップに出品することになるわけですね。昨年あたりから、マーケットプレイスモデルだけではなく、卸モデルも増えてきており、日本企業ともかなり取引しています。

Q:売れる商品のジャンルは。

A:これまで中国向け越境ECといえば化粧品が主体でしたが、最近は食品や美容機器、美容雑貨なども売れており、裾野が広がっています。独身の日は大きい店舗だと1日で100億元、日本円でいえば数千億円規模を売り上げます。そのため、需要予測が重要です。早々に在庫切れを起こせば機会損失となるし、逆に多すぎると大量の在庫を抱えるはめになる。実際の業務を委託する、運営代行業者の販売量を見極める腕が重要になってきます。

Q:セールで売れる数はどうやって判断するのですか。

A:アリババの場合、11 月11 日以外にも毎月のようにセールを実施しています。セールに何度も参加すれば、ある程度傾向は見極められるはずなので、「この売れ行きなら11 月11 日にはこれくらい売れるだろう」という予測は立てられるようになってきます。要は、11 月11日を売り上げの頂点にするために、一定期間をかけて準備する必要があるわけです。大きな店舗なら、2月頃から仕掛けをしています。そのため、出店初年度の独身の日で成功する企業はかなりラッキーといえるでしょう。初年度の経験を経て2年目以降は売れ行きの読みの精度が上がってくる企業が多いです。

アリババの越境ECモール「天猫国際」

オンラインにPR 予算投入を

Q:マーケティングで重要なことは。

A:独身の日直前に急に広告を打っても効果は薄く、やはり長期間に渡る仕込みが重要です。これは、どちらかといえば日本企業にとっては苦手な分野という印象です。それは欧米企業に比べるとマーケティング予算が少ないからです。20 代から30代前半の女性をターゲットとした場合、中国のインフルエンサー(KOL)を使い、イベントやライブ配信を行うといったものが常道ですが、日本の場合、踏み込んだPRを行う会社は少ないです。あとウェイボーやウィーチャットといったSNSを使った中国語による情報発信も必要となってきます。売り上げが増えれば共感を生む形でどんどん右肩上がりになっていきます。アリババの場合、商品ページに「売れた数」が表示されます。中国人は「売れている商品は良い物」と判断し、購入する傾向が強いため、数が増えるほど売り上げも大きく拡大していくというわけです。

Q:プロモーションのやり方としては、日本で展開する場合とどんな違いがあるのでしょうか。

A:大きく違っているわけではないでしょうね。ただ、日本の場合はテレビでの宣伝を重視する傾向がまだまだ強いですが、中国の消費者はテレビはあまり見ないので、オンラインに予算をかけた方が効果的です。また、消費者は広告をあまり信用しないので、影響力の強いKOLを使い、SNSで拡散していく方が良いでしょう。

Q:影響力の強いKOL の見分け方は。

A:KOLといっても実力はピンからキリまであります。有力なKOLであれば1万人相手に情報を発信することもできますからね。上手い人と下手な人には大きな差があります。上手い人は、まるで自分が開発した商品かのように説明するし、商品についても良く勉強していますが、下手な人だと台本を読んでいるのが分かってしまい、視聴者から質問がきてもうまく答えられなかったりします。過去のライブ動画配信を見ることができるので、自分の言葉で商品の良さをきちんと発信できているかどうか確認するべきでしょう。

Q:SNSで情報を発信する場合など、社内に中国語ができるスタッフは必要になりますか。

A:必須だと思います。中国人の留学生にインターンで入ってもらうだけでも全然違う。ただし、そのスタッフに例えばSNSでの情報発信を丸投げすると、事実と違うことを発信される恐れもあるので気をつけるべきです。

Q:プロモーションは運営代行業者と相談して展開するわけですか。

A:大きい運営代行ならそういう場合もあるでしょうが、サイト運営に特化している業者も多いので、別途PR会社を通じてやることが多いですね。ただ、SNS程度ならともかく、ライブ動画配信はサイトの販促と連動させる必要があるので、窓口を一本化するか、1つのチームでやるかしないと効果が出にくいと思います。運営は運営、PRはPRと切り離さずに横串を通した体制づくりが重要かと思います。

Q:他に重要な点は。

A:インバウンドとの連動もポイントになるでしょう。日本に実店舗があるなら、中国語のポップにQRコードを載せて、中国に帰ってからサイトにアクセスしてもらうことができます。

Q:独身の日も競争が激化しています。利益は確保できるのでしょうか。

A:確かに、大規模なセールですから、利益率が低くなってしまうので、企業によっては利益を出なかったというケースも出てきます。もちろん、それは良いことではありませんが、独身の日は1年のうちで最も重要な販促活動です。ここで大きな売り上げを出せば、その後も売り上げ上位に出続けることが多い。仮想モール内検索に関しても、リスティングのロジックに売り上げ実績が反映されます。販売実績をあげればあげるほど上位に出てくるので、独身の日は単に認知度を上げるだけではなく、モール内の露出という面でも見返りとなる効果の桁が違います。ここで大きく売れば効果はしばらく続くはずです。

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