インターネットTV局「AbemaTV」で通販番組がスタート ――うどんマニアやキャンプ好き芸人らが“一押し”を紹介

サイバーエージェントとテレビ朝日の共同出資子会社が運営するネットテレビ局「Abema(アベマ)TV」で通販番組がスタートした。番組では実演販売士やホスト、ダンサー、芸人らを起用し、既存のテレビ通販で取り扱うような商品とは一線を画したユニークで魅力的な商品を紹介していく。

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ハンバイヤー6人が商品をプレゼン

AbemaTV で放送を始めた通販番組「買えるAbemaTV 社」(画像は番組タイトル画面)

「AbemaTV」で放送を始めた生配信による通販番組「マジでヤバいモノが手に入る!買えるAbemaTV社」は2017年12月1日付でサイバーエージェントが55%、テレビ朝日が40%、テレビ朝日HDの通販子会社であるロッピングライフが5%をそれぞれ出資して設立した通販子会社の売れるAbemaTV社が展開するショッピングバラエティ番組で、2017年12月1~14日まで「月給(34万円)に加え、販売金額に応じたインセンティブ支給もあるため、実績次第では年収1000万も狙える夢のような職業」としてウェブサイトなどを通じて募集していた番組内での商品販売業務、商品選定、メーカー交渉、仕入れなどを行う「ハンバイヤー」として、ダンスチーム「サイバージャパンダンサーズ」に所属する渡辺加苗・渡辺加和姉妹や新宿・歌舞伎町のホストクラブの人気ホストの一条ヒカルさん、実演販売士のサクセス木原さん、キャンプ大好き芸人の大和一孝さん、年間500杯のうどんを食べるという「うどんマニア」の井上こんさんの6人が採用され出演。それぞれが選んだ一押し商品の特徴などをプレゼンしながら毎回、紹介するもの。番組放送中に視聴者がスマホやタブレット、パソコンの画面をタップまたはクリックすると番組紹介商品を販売する通販サイトに遷移し、商品を購入できる。
当該番組は当面は毎週木曜日の午後11時から1時間、「Abema TV」内でオリジナルのバラエティ番組や音楽などのイベントやライブの生放送などを配信しているチャンネル「AbemaSPECIALチャンネル」で放送する。なお、当該番組は生放送後も繰り返し、視聴できる見逃し視聴にも対応している。

初回放送では社名変更を発表

番組中に気になる商品があった場合、画面をタッ プすると通販番組に連動する通販サイト(画像) で商品を購入できる

2月1日の初回放送では「ハンバイヤー」の6人のほか、番組司会者のタレントの藤森慎吾さんやゲストの谷まりあさん、「販売部長・伊達」として売れるAbemaTV社の伊達学取締役が出演して商品の販売は行わず、サイバーエージェントの藤田社長より「新しい通販番組を作りたい」という命を受けて、事業開始に向けて奮闘する伊達取締役の奮闘などを追いつつ、当該番組のコンセプトの説明や各ハンバイヤーの紹介などを行う「商品ブレスト会議」の模様を放送した。

また、同社は通販支援事業を手がける「売れるネット広告社」と社名が似ており、同社に配慮したことに加えて「視聴者側に立つと『売れる』よりも『買える』とした方が分かりやすいと判断した」(同社)として、同日付で商号を「買えるAbemaTV社」に変更しているが、この初回の番組では伊達学取締役が「売れるネット広告社」の加藤公一レオ社長を訪ね、社名について話し合いを行った模様などを紹介。その結果、商号の変更に至り、番組内で社名および番組タイトルを変更したことを発表している。

うどん生地など変わり種を販売

実際に番組内で商品の紹介・販売を始めたのは2月8日の第2回目の番組からで、番組の最初に同日から同12日まで期間中の商品購入者のうち、50人に1人、購入金額分を10万円を上限に全額、「買えるAbemaTV社」の商品代金の支払い時に充当できる独自ポイントで還元する「いきなり創業祭」と題した販促キャンペーンを実施すると発表した後に、まず、俳優の山田孝之さんが共同代表を務めるFORIEGE(ホリエッジ)が販売する江戸ガラスを使った足部分を曲げた個性的な6種類のグラス「FORIEGE×江戸ガラス(コンポート・日本酒グラス・ゴブレット・シャンパングラス・白ワイングラス・赤ワイングラス)」(価格は税抜1万3500~2万円)を目玉商品として山田さん自らも出演しておよそ10分間にわたってこだわりや特徴などを説明した。
その後は、各ハンバイヤーがおすすめの商品を各8分程度ずつ紹介。まず、芸人の大和さんは自らも愛用するフランスの老舗ブランドの折り畳みナイフ「オピネルカーボンナイフ#8」(税抜2200円)を紅茶と酢を混ぜた液体に刃部分を漬け込むことで赤錆を防止したり、柄の部分をエゴマ油に浸すことで水分による膨張で生じる刃が折り畳みにくくなる状態を回避するなど、よりよく同商品を使用するためのカスタマイズ方法を交えつつ、訴求した。

初めて商品を紹介した2回目の番組で最も売れ行 きのよかった「代打ち麺ロール」

次にうどんマニアの井上こんさんが「年間500杯のうどんを食べる女が選んだ逸品」を題して、さぬきうどんが知られる香川県のうどん職人が打ったという麺としてカットする前のロール状のうどん生地となる「代打ち麺ロール500gつゆ付×2箱」(同1800円)を紹介。麺状となったうどんに比べて、空気に触れる麺性が少なく、酸化しにくく、風味も逃げにくい点や、自ら麺にカットすることでうどん職人のような体験ができること。また、自らカットできるため、麺状ではなく、例えばクッキー用のハートの型抜きなどを使えばかわいらしい「すいとん」を作ることができるなど自由にアレンジできることなど、当該商品の特徴について井上さんがプレゼン。最後に太めにカットした麺を使ったパスタ風うどんを司会者らに試食させるなどして訴求した。
その後は人気ダンサーの渡辺加苗・渡辺加和姉妹が美顔ローラー「テラローラーai‒Ⅱ」(同1万2000円)を、また、新宿・歌舞伎町のカリスマホストの一条ヒカルさんによる燕の巣を使い、のどの粘膜を守る成分を豊富に含んだ高級のど飴「インフルブロックのどあめ60粒」を紹介した。なお、4人が商品を紹介したところで、番組終了時刻となってしまい、もう1人のハンバイヤーである実演販売士のサクセス木原さんの商品はこの回は紹介できなかった。
番組の最後には各ハンバイヤーが紹介した商品の現時点での売れ行きが発表され、井上さんの「麺ロール」が12個を売り上げてトップとなった。なお、その時点では「ナイフ」が11個、「のど飴」が2個、「美顔ローラー」は1個をそれぞれ販売したようだ。
この結果を受けて、番組内で伊達取締役は「全然、(売り上げが)足りないんですけど、(次回以降は)今日よりももっと素晴らしい商品をご用意しておりますのでご期待ください」と意気込みを語った。
スタートしたばかりの「買えるAbemaTV社」。チャンネル数が限られ、またある意味では見ることが習慣化され、積極的な視聴ではなく、“受け身視聴”の視聴者も相手にできた従来のテレビでの通販番組ではなく、自ら自分の好みにあった番組を探しに訪れるインターネットTVで、あえて通販番組を配信し、しかもそこで一定の収益を得るというハードルは決して低くはなさそう。ただ、同番組内でサイバーエージェントの藤田社長は「普通の通販番組を作ったって何の意味もない。面白ければ観るし、いつか売れるかもしれないけど面白くなかったら売れないし観ない」と言及しており、より高いエンタメ性を追求しながら、売り上げにつなげていくという既存のテレビ通販番組にはない新しいスタイルを確立させたい考えのよう。同番組の今後が注目されそうだ。

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