ゾゾ、化粧品専門モールを開設へ――フェイスカラー計測ツールを配布

 ZOZO(ゾゾ)は、今期戦略のひとつに掲げている“商材拡充”に向け3月に「ゾゾタウン」内にコスメの専門ショップとラグジュアリーブランドを集積した売り場をオープンする。コスメについては、スマートフォンで簡単にフェイスカラーが計測できるツール「ZOZOGLASS(ゾゾグラス)」を無料で配布し、利用者一人ひとりの肌の色に合った商品をレコメンドするなどしてEC購入のハードルを下げるほか、コスメ専用のUI・UXを整備。早期に国内ナンバーワンのコスメ通販サイトを目指す。


メガネ型のフェイスカラー計測ツール「ゾゾグラス」を無料で配布する

 コスメ専門モールの「ゾゾコスメ」は3月18日にオープン予定で、ハイブランドからプチプラコスメまで国内外の厳選した500ブランド以上の正規品を取り扱う。アパレルが主力の「ゾゾタウン」とは異なり、コスメアイテムの探しやすさにこだわったUIが特徴で、ブランド名やアイテム名での検索だけでなく、好みや悩みによる絞り込み検索にも対応。ファンデーションであればリキッド、パウダー、クリーム、ルースなどの種類や、肌の仕上がり、肌の悩みによる絞り込みもできるようにする。

 「ゾゾコスメ」のオープンと同時に提供を始める「ゾゾグラス」は、ECにおけるコスメ購入時の課題である“色選び”に関する不安や悩みを解消するメガネ型の計測ツールだ。ゾゾはこれまで足の3D計測用マット「ゾゾマット」や3D計測用ボディスーツ「ゾゾスーツ2」を発表してきたが、「ゾゾグラス」は従来のようにサイズを計測するのではなく、色の計測にフォーカスした。

 「ゾゾグラス」の前面にはスマホのカメラで認識するためのマーカーとさまざまな色のカラーチップが施され、それら
の情報をもとに肌の色を機械的に判定し、コスメアイテムをマッチングする解析プログラムをゾゾグループで独自開発した。

 「ゾゾグラス」は一般的にフェイスカラーの診断に使われている機器と比較しても遜色のない精度で、表面のカラーチップによって計測時の環境光に左右されず、オンラインでも安定した高精度な計測が可能としている。

 使い方は簡単で、ゾゾタウンアプリから「ゾゾグラス」を使って計測すると、スマホカメラが「ゾゾグラス」のマーカーとカラーチップを認識し、複数箇所の顔の肌の色を1分程度で計測する。

 計測時はメイクを落とした状態で「ゾゾグラス」をかけ、部屋の明るさやスマホと顔の距離に問題がないことを計測アプリ上で確認。アプリの指示に従ってゆっくり円を描くように顔を動かす。続いて、隠れていた部分の色を計測するために「ゾゾグラス」を外して同様の動作を繰り返して計測は終了する。

 ローンチ時は解析が完了すると自分のフェイスカラーのほか、ヘモグロビンとメラニンの相対値、フェイスパーツ別のカラーやパーソナルカラー(ブルーベース、イエローベースなど)も表示する予定だ。

自分の肌の色やヘモグロビンとメラニンの相対値などが分かる(※ 画像はデモ画面)
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ゾゾグラスの予約が好調

「ゾゾコスメ」のオープンに先立って、ゾゾでは1月29日から「ゾゾグラス」を送料含めて無料で手に入る先行予約キャンペーンを開始しているが、予約受け付けから10日間で予約数は40万件を突破したという。

 すでに、SNS上では「コスメの色選びに悩んでいた。救世主になりそう」という声や、「パーソナルカラーをずっと知りたかった。ゾゾグラスを使って早く自分の肌の色が知りたい」「コロナ禍でテスターを試しにくくなっているから色選びが難しかった」など、コスメアイテムの色選びやEC購入時のハードルを解消するテクノロジーへの反響は大きいという。

 「ゾゾコスメ」では第1弾として一部のファンデーションを対象に、顧客一人ひとりの肌の色に合った商品をレコメンドすることで簡単に購入できるようにする。コロナ禍で、リアルの化粧品売り場では美容部員によるタッチアップを自粛しているブランドが多い中、自宅で安全、簡単に肌の色に合ったコスメを選ぶことができるのは大きなアドバンテージとなりそうだ。

 ファンデーション以外にもリップやチークなど「ゾゾグラス」の対応範囲を拡大するほか、フェイスタイプ診断や、計測結果が撮影時の環境光に左右されない「ゾゾグラス」の特徴を生かし、ARメイクが楽しめる機能の追加も検討している。

 ゾゾによると、「ゾゾタウン」の女性アクティブ会員は533万人で、約半数をF1層(20~34歳)が占めている。2020年8月に実施した会員向けのコスメ利用調査では、女性アクティブ会員のコスメ平均年間支出は8万2200円で、一般平均の2.2倍だった。

 また、コスメECの利用経験率は73.7%で、ECでのコスメ支出比率は36%に上ることから、「ゾゾコスメ」の利用を促すことでLTVの向上につなげたい意向だ。同社ではヤフーやLINEなどグループ横断で集客を図ることも検討するとしている。

 「ゾゾグラス」の開発には約1年半をかけているが、「スマホのインカメラでカラーチップと肌の色を正確に検出・計測するためのアルゴリズムのチューニングや、読み取る元となるゾゾグラス表面のカラーチップの成型も苦労した」(ゾゾ)という。

 加えて、カラーチップは印刷の工程によってプリントした色に誤差が出ないように単なるプリントではなく、「ゾゾグラス」自体の成型段階で色や位置がブレない方法で製造しているようで、それらを実現するためにも通常のメガネの生産工場などでは作っていない。また、光に反射しないように前面の質感にもこだわった。

ハイブランドを誘致

 一方、ラグジュアリーブランドを集積した売り場については、「クロエ」や「トムブラウン」「ドリスヴァンノッテン」「ラフ・シモンズ」「JWアンダーソン」「」など70以上の高額ブランドを扱うゾーンを新設する。

 従来、ラグジュアリーブランドはECモールへの出店には積極的ではなく、とくに海外ブランドの開拓には苦戦していたが、コロナによる実店舗売り上げの減少などもあってECチャネルでの販売を強化する動きが出てきているようだ。

 今期はすでに「ロエベ」や「ステラマッカートニー」「マルニ」といった人気ブランドの誘致に成功するなど、ラグジュアリーブランド強化の布石を打ってきた。ハイブランドにとっては「ゾゾタウン」に出店することで、若年層など新規顧客の開拓にも期待していると見られる。

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