auコマース&ライフ(auCL)は1月19日、仮想モール「auPAYマーケット」において、体験型サービスの取り扱いを始めた。auPAYマーケットのスマートフォンアプリ内に「レストラン予約」のタブを設けている。レストランだけではなく、宿泊、美容施設の予約をできるようにしていくというもので、「新しいコマース体験」をユーザーに提供し、他社との差別化を図る。
独自性をアピール
同社は2019年4月、仮想モール運営のKDDIコマースフォワードと、「お得に贅沢体験」がモチーフの通販サイト「LUXA(ルクサ)」を運営するLUXAが合併して発足している。「モノ」と「コト」を総合的に提案できる会社となったことで、「暮らしのカタチをつくる」というミッションと、「新しいコマース体験の追求」をビジョンとして掲げている。
「『モノ』と『コト』の両方をワンストップで提供したい」(auCL広報)と考えて始めたのが今回のサービスだ。「通販」という点でも「サービスの予約」という点でも規模の大きなサイトは他にあるものの、両者を一気通貫で提供できるサイトは珍しい。
「これまで20年以上に渡って総合ショッピングモールとして歩んできたが、より独自性を出していく必要があると考えた。同じ会社のサービスでも、モノとコトではアプリが分かれていることが多いが、auPAYマーケットにおいては、1つのサイト・アプリにおいて、まずは旅行の予約をして、その旅行で必要なスーツケースや衣類、靴といった商品を購入してもらう。そして、旅行先で訪れるレストランも予約できる。こうしたシームレスな買い物体験を提供していくことで、当モールの独自性を消費者に認識してもらえれば」(同)。
「接客」で関連商品レコメンド
auCLの親会社であるKDDIは昨年5月、グループのポイントプログラムを、共通ポイントサービスである「Pontaポイント」に統合。auPAYマーケットでもPontaを貯めたり使ったりすることができるようになった。auCLでは「Pontaを予約に活用できる点が消費者にとって大きなメリットになるのではないか。8900万人以上のPontaの会員基盤を活かし、モノとコトの双方を提案していきたい」(auCL広報)とする。
LUXAは40~50代の可処分所得の高い層がメインの顧客だが、新サービスはそれよりもやや低い30~40代がターゲットとなる。auPAYマーケットのメインユーザー層にアピールしていきたい考えだ。
LUXAはユーザーの定着率が高いのが特徴だが、もともとLUXAは飲食や美容系が強かったこともあり、これらのサービスからスタートするが、今後は旅行やオンライン学習、さらには歌舞伎やバレエ、ミュージカル、大相撲などのエンターテイメント系商材も取り扱う予定。
auPAYマーケットアプリのほか、スマートフォン決済「auPAY」アプリからの流入も見込む。さらには「au経済圏」に属する他のアプリからも流入してもらえるように動線を設ける。「auPAYマーケットに、au経済圏を拡大させるためのダイナミックな仕掛けを施していきたい。コト系商材の取り扱いもその一貫となる」(同)。
今後は、購入したコト系商材に関連した商品を、スムーズに消費者へとレコメンドしていくために、KDDIグループの技術力を活用した「接客」を行う。auCLの広報は「ある特定のアクションを起こしたユーザーに対して、どんな接客をしていくかが、新しいコマース体験を作り上げる上でのカギとなる。偶然の出会いや発見で商品を買うというのは、オフラインの世界では一般的な話だが、ネットでの接客でこうした出会いをいかにして作り出すか、ということにチャレンジしていきたい」と意欲的に語る。
ライブコマースも強化
また同社では、5G時代を見据えた新たな打ち手として、ライブコマースにも注力している。3月1日から、アプリ内のサービス「ライブTV」において、吉本興業のお笑い芸人が商品を紹介するライブコマース番組「生配信!よしもと市場」を開始した。個性あふれる吉本興業の芸人たちが商品に熱意や知識を生かし、商品の魅力を楽しく紹介するというコンセプトで毎週放送している。
番組第1回では、クラフトビール「よなよなエール」のヤッホーブルーイング協力のもと、よなよなエールの大ファンである、「ロンドンブーツ1号2号」の田村淳さんが、長年の夢であった「オリジナルのクラフトビールをつくる」をかなえる企画「ロンブー淳の、夢のクラフトビール屋はじめました!」を配信した。
放送時間は3月1日の午後6時30分から1時間。出演者は田村淳さんと、お笑いトリオ「ニブンノゴ!」の森本英樹さん。番組では「よなよなエールクラフトビールはじめてセット5種5本セット」も特価で販売した。
同社では「ライブコマースの視聴者数も増えてきている。動画視聴経由の売り上げを増やすためのノウハウも溜まってきており、可能性がある領域だと思っているので、今後はさらに注力していきたい」(auCL広報)と意欲的に話す。