OMO型店舗が相次ぎ出店 有店舗小売り事業者のEC戦略

 コロナ禍で消費者の購買活動にも大きな変化が見られる中、有店舗企業による店舗戦略も新たな局面を迎えている。サービス設計においてECのデータやリソースを活用するなど、取り組みは様々だ。大手小売り企業を中心に、各社の取り組み事例を見てみる。

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事例1ユニクロ 旗艦店の「銀座店」を刷新、EC連携も幅広く

 ユニクロは9月17日、都内の大型店である「ユニクロ銀座店」をリニューアルオープンした。かねてより、〝新しい購買体験〟を提供する店舗づくりを掲げていたもので、売り場を活用したライブコマースや、通販サイトから購入できるオーダーメイド感覚スーツの専門接客、期間限定の購入商品の即日配送など、ECにも関わる新たな機能をふんだんに取り入れた内容となっている。

 同店舗は、広大な売り場面積(約5000m2)を有し、今回の刷新以前より、ユニクロのフルラインナップを取り扱う「グローバル旗艦店」として展開している。旗艦店は、ブランドの情報発信拠点としての役割も持っており、今回の刷新に当たっては新たな購買体験を提供する新形態の店舗として国内初の機能を各所で取り入れている。

リニューアルを行った旗艦店の「ユニクロ銀座店」

オーダーメイド感覚スーツの専用売り場も

まず、専門スタッフによる接客サービスやサロンを設置しており、ECに関わるものでは、10階に「オーダーメイド感覚で選ぶ、ジャストサイズのスーツ」を取り扱う「CUSTOMORDERSALON(CUSTOMオーダーサロン)」を新設した。同商品はECやアプリで受注しているもので、注文後に袖丈など必要箇所を補正して配送している。

 実物を確かめてから購入したいニーズもあることから、現在、全国約130店舗で試着用サンプルを使ってスタッフがサイズを案内しているが、既存店舗では売り場スペースの問題から展示しているサンプル数にも限りがあったという。

 同店舗では、初めて「サロン」として同商品専用のスペースをとった売り場にしたことで、他店舗にはないような多くのサンプルのサイズを用意しており、来店者が様々なパターンから試すことができるという。スタッフが店内で顧客を採寸してそのデータを顧客のスマートフォンや自宅PCなどに送信。顧客はそのデータをもとにいつでも注文できるようになっている。加えて、接客に当たるのは特別な研修を受けた専門スタッフであるため、オーダーメイドスーツの未経験者でも相談しながら、気軽に購入できる環境となっている。

 商品や混雑状況に左右されるものの、シャツは翌日、ジャケットの場合は3日でそれぞれ最短配送。ネットで決済ができるが、店舗支払いの場合は同店での特典キャンペーンもある。銀座自体がビジネス街でもあることから、スーツ商品の需要は高くあると見込んでいる。

オーダーメイド感覚スーツの専用売り場上、タブレット下も設置している

実店舗内スペースを活用したライブコマースも展開

 そして、同社では2020年からインスタグラムでのライブコマース「UNIQLOLiveSTATION」をいくつかの店舗を舞台にして開催しているが、同店についても店内の様々な場所を撮影に使って定期的に配信を行っていくという。

 基本的には話題性のある商品を発信する傾向にあるため、旬の商品を大々的に展示するスペースのある最上階がその舞台の中心となるようだ。

 なお、既存店でのライブコマースについてはこれまでのところ、不定期で1、2カ月に1回ほどの頻度で実施。コラボ商品やお勧め商品などを発売するタイミングで行うケースが多いという。

 動画では撮影場所となる実店舗スタッフだけでなく、ファッション関連雑誌の編集長やプロのスタイリストも登場。「コーディネートも提案してもらっているが、第三者の目線で商品を紹介してもらうと説得力がある」(同社)と説明した。同社のインスタグラムアカウントのほか、専用ページではアーカイブ配信も行っており、配信後の当該商品の売り上げへのインパクトは大きいようだ。

集客の目玉の一つとして、国内店舗では初のコー ヒー販売も開始した

 そのほか、ウェブマーケティングに関わるものでは、11階のTシャツブランド「UT」の専門売り場において、1500円以上の購入者を対象に同店限定のオリジナルの壁紙で記念写真が撮れる撮影機材を設置している。

 好きなUTのグラフィックを背景に選んだ撮影が可能で、その場で紙焼きの写真を印刷するほか、QRコードからデジタル素材でも提供。同店だけの撮影体験を提供することで利用者のSNSから、UTブランドの拡散効果も期待できる。

 また、期間限定の企画としては、オープンから11月30日まで、同店で当日1万円以上を購入者した、対象区内(中央区・千代田区・港区・江東区・墨田区の一部)に在住のユニクロアプリ会員に向けて、商品を無料で同店舗から自宅に即日配送するサービスも行う。店舗での買い物の後に銀座の街を手ぶらで楽しめるよう配慮したもので、同店だけの初の取り組みとなる。

その場で写真撮影ができる設備も導入

EC比率は拡大が続く

 なお、ファーストリテイリングの2021年第3四半期(2020年9月~21年5月)の「国内ユニクロ事業」の内、EC売上高は、前年同期比27.3%増の1026億円だった。コロナ禍での緊急事態宣言などに伴う、外出自粛なども相まって、部屋着を中心にヒット商品が出ている。加えて、3月~5月までの3カ月間では売上高が前年同期比2.3%増の288億円となっている。

 また、国内ユニクロ事業に占めるECの売上高構成比では同0.8ポイント増の15.8%で、2年前との比較では約5割増となるなど、大幅なEC化率の上昇が見られている。

 今回の銀座店のように大型店舗でもデジタルと連携したサービスやツールを展開することで、ECとの相乗効果が図れると見ている。

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