アダストリア、フォーエバー21を展開へ――5年後に売上高の6割をECで

 大手アパレルのアダストリアは2023年春、米国発のカジュアルファッションブランド「フォーエバー21」の日本での販売を始める。23年2月21日に自社通販サイト「ドットエスティ」での取り扱いをスタートするほか、春には関東と関西のららぽーとに出店する予定だ。従来のファストファッションから“トレンド&ハイクオリティへの転換”を掲げ、5年後には当該事業で売上高100億円を計画。そのうちEC売上高は自社ECを軸に60億円を目指す。

 「フォーエバー21」は米ロサンゼルス発のブランドで、日本では2009年に1号店を出店した。2010年代のファストファッションブームを追い風に店舗数を増やしたが、その後、売り上げが低迷して19年に日本から撤退していた。

 20年には米ブランド管理会社のオーセンティック・ブランズ・グループ合同会社(ABG社)が同ブランドを買収してリブランディングに着手。商品の品質や価格、店頭表現を刷新し、サステナビリティや社会貢献を打ち出すなど、今の時代に合わせたプロモーションを展開。グローバルで570店舗以上を展開するブランドとして事業を拡大しているという。

日本再上陸を発表したアダストリアの木村治社長(中央)とABG社のケビン・サルターバイスプレジデント(左)

 「フォーエバー21」の日本再上陸に当たっては、アダストリアは22年5月に立ち上げた100%子会社のGateWin(ゲートウィン)が同ブランドのマスターライセンスを保有する伊藤忠商事とサブライセンス契約を締結した。

 アダストリアでは、高いファッション感度と多様なカルチャーを背景に持つ同ブランドのポテンシャルと、アダストリアの環境と人に配慮したサプライチェーンマネジメントを軸に、1400万人以上の会員を保有する自社EC、店舗開発力、商品開発力などの強みをかけ合わせることで、かつての「大量生産・大量販売・大量廃棄」というイメージからの脱却を図り、日本のマーケットにローカライズしたファッションを届けるとしている。

 アダストリアによると、自社で企画・生産する商品が約8割、米国からの仕入れ商品が2割程度でMDを組み、まずはウィメンズのアパレルと服飾雑貨からスタート。「フォーエバー21」撤退当時の千円を切るような価格帯ではなく、平均単価は4000円程度に設定し、10代後半~30代前半の幅広い層をターゲットとする。

 ECチャネルについては、同ブランドの単独サイトではなく、「ドットエスティ」を軸に販売するが、外部のECモールを通じた販売も検討する。

 実店舗は、2023年春に関東と関西のららぽーとに出店する予定で、日本再上陸1号店は23年4月に開業予定の「三井ショッピングパークららぽーと門真」(大阪府門真市)内にオープンする。同商業施設の開業に合わせてオープンし、約406m2の店内でウィメンズアパレル、服飾雑貨、生活雑貨など200型程度を展開する予定だ。

 実店舗については、アダストリアの自社ブランドも多く出店する郊外ショッピングセンターを中心に出店を計画。平均売り場面積は330~500m2程度で展開する。

 また、ポップアップストアも随時展開してユーザーが直接商品を手に取って新たなブランドを体験できる場を設ける。

 実店舗は年間3店舗程度のペースで出店し、5年後には15~18店舗を展開する予定で、28年2月期に同ブランドでEC売上高60億円、店舗売上高40億円を計画する。

 なお、ブランド管理会社ABG社のケビン・サルターバイスプレジデントは、「フォーエバー21は非常に重要なブランドで、日本のマーケットはかつてフォーエバー21にとって主要な市場だった。日本で再びブランドを活性化するためにアダストリアと提携した。日本はファッショントレンドをリードする地域だ。伊藤忠商事およびアダストリアとのパートナーシップにおける我々の目標は、サステナビリティに焦点を当てたフォーエバー21というブランドを通じてトレンドを生み出し、世界中に広めることだ」としている。

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