スーパースタジオ、OMO型店舗開設――EC事業者のリアル進出を支援

 EC基幹システム「ecforce(イーシーフォース)」を提供するSUPERSTUDIO(スーパースタジオ)は7月15日、三井不動産と協業し、同社が展開するMIYASHITAPARK内の商業施設「RAYARDMIYASHITAPARK」に、OMO型店舗「THE[]STORE(ザ・ストア)」をオープンした。

 スーパースタジオは2022年6月、三井不動産とグローバル・ブレインが共同運営するベンチャー共創事業などから総額約44億円の資金調達を実施したのを機に、自社のEC運営ノウハウと三井不動産のリアルアセットの強みを組み合わせたECブラン向けのOMOソリューションに取り組んでいる。「ザ・ストア」は同ソリューションのひとつとして展開するリアル店舗だ。

渋谷のRAYARD MIYASHITA PARK内にオープンした「ザ・ストア」

 一定規模に成長したECブランドの多くはさらなる認知度向上やネット上では獲得できないユーザーの開拓などを目的にリアル店舗への出店を検討するものの、実店舗の運営リソースやノウハウ不足、出店コスト、リアル店舗でのデータ取得などが課題となって出店に踏み出せないケースがあるという。

 「ザ・ストア」では、こうしたECブランドの課題をサポートする。具体的には、実店舗に必要な内装、接客人員、システムを用意。出店費用やスタッフの手配なども含めて一般的なテナント出店よりも安価な設定とした。

 ECの基幹システムに「ecforce」を利用している事業者であれば、「ザ・ストア」の購入データは「ecforce」に取り込まれるため、ECの購入分析と比較した分析も容易で、出店の費用対効果が計測できるほか、「ザ・ストア」での購入以降にEC購入につながっているかも可視化できる。

 また、「ザ・ストア」では商品の持ち帰りも含めてECの購入導線を使用するため、その場で定期購入を訴求できるのに加え、その後のLINEやメールなどを介したコミュニケーションで購入者に定期購入を促すことができる。

 スーパースタジオでは、「データを扱う会社としてオフライン活用の課題解決を図りたいと思っていた。EC事業者もオフラインの売り場を持った方が効率的に成長できる。リアルの場で接点を持ったユーザーをECチャネルで引き上げていくサポートをしたい」(林紘祐CEO)とする。

 「ザ・ストア」の外観については、店舗サインは「THE[]STORE」の[]内に液晶が埋め込まれており、出店ブランド名や商品ジャンルを入れることで店舗名を変更可能だ。

 約66m2の広さがある店舗内は、どんなブランド、商品を陳列しても馴染むモノトーンを基調とした内装デザインとし、ベンチとしても商品ラックとしても使用可能なスペースを設置。テーブルなどの什器は可変式で、用途やブランドイメージに合わせてカスタマイズできる。

 既設什器の撤去や持ち込みも可能だ。アパレル向けに天井吊り下げ型のハンガーや試着スペースも用意している。2面のデジタルサイネージと店頭の大型モニターで出店ブランドによる自由な映像表現が可能だ。

 店内や店外に設置したAIカメラで来店者の行動、目線データを取得するため、商品配置や店舗内導線を、データをもとに改善できるという。

 また、店舗に関するアンケートへの回答や公式LINE登録ができるスペースを設置。登録情報は「ザ・ストア」や通販サイトの情報と紐づけできるため、属性に合わせたコミュニケーションをとることでブランドのファンになってもらう継続的なCRM施策を実施できる。

 店舗内の商品購入については、来店客が自分のスマートフォンで商品のQRコードを読み取り、その場で購入に必要な情報を入力して決済を行う。商品の受け取りは店頭か自宅かを選択でき、その場で持ち帰りたい場合は購入完了画面で発行されるQRコードをスタッフに見せれば購入商品を受け取ることができる。

商品は QR コードを読み取ってオンライン上で決済する。商品はその場で持ち帰るか、自宅配送が選べる
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週単位で出店可能に

 ECブランドは週単位で「ザ・ストア」への出店が可能で、食品の試食や新商品、新ブランドの発表会、トークイベント、店舗からのライブ配信など、リアルの場ならではの体験価値を提供できる。

 出店ブランドの第1弾はストリートアパレルブランドの「メクリ」で、7月26日までの12日間出店する。その後は、ヘアプロテインのD2Cブランド「イファー」、自宅焙煎コーヒーブランドの「ロースト」、クラフトカクテルの「コヨイ」などが1~2週間ごとに出店を予定している。

 第1弾の「メクリ」はスーパースタジオが手がけるD2Cブランドで、人気漫画の「寄生獣」や「グラップラー刃牙」など、作品に寄り添ったデイリーユースのキャラクターアパレルとファッション雑貨を中心に提案している。

 主要顧客層は20~30代のファッション感度が高く、ストリートスタイルが好きな男女という。渋谷駅近くの同商業施設は若い世代やストリートアパレルとの相性が良く、また、訪日外国人の来店も見込めることから、「メクリ」として初めてとなるポップアップストアの開催場所に「ザ・ストア」を選んだ。

「ザ・ストア」の第1弾はストリートアパレルブランド「メクリ」が出店

 実店舗を持たないD2Cブランドにとって、ポップアップ開催時の売り上げを計画しづらく、人的リソースをかけられないなど、出店のハードルは高いという。「ザ・ストア」については、内装やサイネージも含めてブランドの世界観を表現しやすいほか、各種データを取得できるメリットがあるという。

 「メクリ」では期間中の売り上げだけでなく、ポップアップ経由の新規ユーザーに対してマーケティング活動を行ってファン化できるかなど、長期的な視点を大事にしているという。また、ブランドの成長に合わせて実店舗の開設も視野にあることから、まずは「ザ・ストア」でデータを取得して実店舗のポテンシャルを見極めたい考えだ。

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