江崎グリコ、グリーンスプーンとの協業開始――商品開発や相互送客などで相乗効果

 江崎グリコ(大阪市西淀川区)はGreenSpoon(=グリーンスプーン)との協業を開始した。9月17日、共同開発商品を発売し、相互送客や原料など調達面等で連携を図り相乗効果を生み出す。江崎グリコがサブスクリプションモデルで展開するグリーンスプーンの強みを活かして新規顧客層との接点を拡大。自社で展開する低糖質食品の利用機会を増やすことを目指す。グリーンスプーンは、今期(24年12月)に前年比約2倍の売り上げを見込む。

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スープと生パスタを共同開発

 江崎グリコは今年6月、グリーンスプーンの全株式を取得し子会社化した。これまでグリーンスプーンの顧客に向けて、江崎グリコの商品を提案するなどの連携を行っていた。子会社化して以降、共同開発商品の発売は初めて。

 共同開発商品はアーモンドミルク飲料「アーモンド効果」に使うアーモンドペーストを使用したスープ(3種類)。電子レンジ加熱することで調理が完了する。水の代わりに「アーモンド効果」を使用することも提案し、濃厚な味わいで顧客満足度を高める。江崎グリコは、低糖質で訴求するアイスなどの菓子、生パスタ麺などの食品を展開するブランド「SUNAO」を展開している。その技術を活かし、今年12月からグリーンスプーンの通販サイトで冷凍パスタ(3種類)を発売する。

 グリーンスプーンは、包装の特性からこれまでショート麺しか扱っていなかった。江崎グリコの技術を活かし、初めてロング麺を展開する。商品は、一般的な食事の摂取量に比べ糖質を抑えつつ、数種類の野菜を摂取できるようにする。

グリーンスプーンの小池優利執行役員と田邊社長(中)と江崎グリコの 木村執行役員
新商品のスープ3種には「アーモンド効果」のアーモンドペーストを使 用した

 両社は、今後も商品開発や調達面、技術活用で連携を深める。双方のブランドを活かした相互送客、調達のプラットフォーム共有なども検討する。江崎グリコはグリーンスプーンのデジタルマーケティングノウハウ、商品開発スピードを生かした協業を進める。海外展開では、現時点で連携は計画していない。グリーンスプーンはブランド立ち上げ当初から海外を視野に入れており、アジア圏を中心に販路の拡大を視野に入れる。江崎グリコの海外拠点を生かした展開も検討していくようだ。

グリーンスプーン事業モデルを評価

 グリーンスプーンは冷凍食品のサブスクサービス「グリーンスプーン」を展開する。スープやスムージー、サラダなど70SKUを取り扱い、急速冷凍した素材を自宅に届ける。1日分の野菜を摂取できるスープなど、1食分で多くの野菜を摂取できる“たっぷり野菜”が特長。市場には冷凍食品はさまざまな商品があるが「野菜を軸にした商品展開に独自性がある」(グリーンスプーン田邊友則社長)という。

 顧客は届いた素材を皿に移して電子レンジで加熱調理すると、出来立てのおいしさを味わえる。「顧客自身で素材を料理に変えることに新規性がある。このひと手間がポイントで、素材を料理に変えるグリーンスプーンのある生活が、顧客の情緒的価値になっている」(同)とした。

 中心顧客層は30代で、次いで40代、50代と続く。ひとり暮らしが約半数となるものの、昨今はパートナーとの2人暮らしや子育て層も増えているという。健康意識は「普通」とするユーザーが約4割で、80%以上が週1回以上自炊しているという。

 売上高の9割がサブスクリプションサービスで占める。12食セットが人気だが、サブスクでありながら顧客が自由に購入商品や個数を決定できる仕組みで、購入しやすさがLTV向上につながっているようだ。

 こうしたグリーンスプーンの事業モデルを江崎グリコは高く評価する。江崎グリコの木村幸生執行役員健康イノベーション事業本部長兼健康事業マーケティング部長は「顧客と直接つながり、デジタルコミュニケーションのノウハウがある。多種多様な野菜を取り扱い、商品開発スピードも速い。ブランドのイメージやデザイン性も強みで、小売の店頭では中身の見えない包装では売れないが、グリーンスプーンのブランドの世界観ではそれを可能にしているとした。

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