新型SNS「Mastodon(マストドン)」がネット販売事業者にも活用され始めた。「マストドン」とは「Twitter(ツイッター)」に似た使い勝手の短文投稿型SNS構築のためのフリーソフトウェアで企業や個人がいわばオリジナルの「ツイッター」を構築できるもの。なお、「マストドン」では1投稿は500文字まで、テキストのほか、短い動画の投稿も可能となっている。また、「マストドン」で作った各SNSは連動しており、それぞれの利用者も繋がれる仕様となっている。海外で広がり始め、日本でも今春頃から「マストドン」を活用した独自SNSを立ち上げる企業や個人が増えており、それに伴い、ユーザーも増加しているようだ。
日本ではイラスト投稿SNSサービスを展開するピクシブや動画配信サービス「ニコニコ動画」などを運営するドワンゴなどがいち早く立ち上げ、すでに一定数のユーザー数を確保しているが、それら以外にも音楽やゲーム、アイドル、スポーツの愛好者向けなど「マストドン」を使った様々なSNSがすでに存在しているようだ。
これまで「マストドン」を使ったSNS運営者の中にネット販売事業はいなかったようだが、その先陣を切って釣具やアウトドア用品のネット販売などを行うナチュラム・イーコマースが4
月中旬から、「マストドン」を使ったアウトドア専門のコミュニティ「ナチュドン_アウトドア」を立ち上げた。いわば、自社オリジナルの「ツイッター」が構築できる「マストドン」。運用方法などによっては効果的かつ低コストで顧客との関係性構築や新規顧客の獲得に活用でき
る可能性もありそうで、ナチュラム・イーコマースのみならず、他の通販企業からも今後、注目されるかもしれない。
1日100人ペースで利用者数増加
ナチュラム・イーコマースが立ち上げた「マストドン」の活用したSNS「ナチュドン_アウトドア」はアウトドア愛好者向けのサービス。サイト上では「『あなたの近くに。自由で密なアウトドアコミュニティ』をコンセプトとし、アウトドア好きの方が楽しめる交流の場を目指してゆきます!アウトドア好きはどなたでも自由に、お気軽にご参加ください!」とPRしている。
同社の担当者によれば「当社ではこれまでお客様同士がアウトドアについて自由に交流して頂く場を作りたいという思いから、アウトドアブログ専用サイト『blog@ナチュラム』を立ち上げてアウトドア好きの方々が自由にブログを作り、それによってある種のコミュニティ作りを支えてきたが、“ブログ”は本来的にはコミュニティではない。当社としては、日本では実は大きなところはないアイトドア愛好者のネットコミュニティを作ろうということで話題の『マストドン』を使ってコミュニティを構築しようと考えた」(同社)という。
「ナチュドン」は4月中旬に開設後、5月2日に公式ブログで正式に告知後、1日100人ペースで登録ユーザー数が増えているとしており、現状のユーザー数は500人弱となっている。「他のインスタンス(SNS)と比べてもユーザーの伸びは順調」(同社)とする。
釣りのSNSも立ち上げ
なお、同社では「ナチュドン_アウトドア」のほか、“釣り”の愛好者向けの別のインスタンス「ナチュドンフィッシング」を立ち上げたことを公式ブログサイトで5月15日に公表しており、今後も「マストドン」の手軽さを活かして、趣味別のインスタンスの立ち上げを進める可能性もあるようだ。ちなみに「ナチュドンフィッシング」のユーザー数は5月中旬時点で30人となっている。
いわば、自社オリジナルの「ツイッター」が構築できる「マストドン」。すでに日本でも数多くのインスタンスが立ち上がっており、代表的ところでは日本で最もユーザー数が多い「mstdn.jp」のほか、ピクシブが運営する「pawoo.net」、ドワンゴ運営の「friends.nico」、ラジオ局のニッポン放送運営の「TUNER」などがある。ネット販売事業者が「マストドン」を活用したSNSを立ち上げるのは日本ではナチュラム・イーコマースが初めてのようだが、多くの顧客を持つECサイトにとっては、マストドンによって顧客間の交流促進やそれによる顧客との関係性構築および潜在顧客の獲得に活用できる可能性もありそうで、積極的に活用するEC事業者が今後増えてくるかもしれない。