楽天グループ子会社の楽天モバイルは7月6日、プロサッカーJリーグ「ヴィッセル神戸」と、「楽天モバイルパートナープログラム」において共同で取り組んでいるハコスコ、ファッション通販サイト「イーザッカマニアストアーズ」を運営するズーティーとともに、メタバースと現実空間を組み合わせた新しいショッピング体験の創出に向け、実証実験を行った。
実験は、ヴィッセル神戸の本拠地である「ノエビアスタジアム神戸」にある2つの観戦ルームにおいて、スタジアム内の5Gを活用したメタバースでの買い物体験を提供し、その有効性を検証するというもの。ハコスコが提供している、メタバース上に店舗が持てるサービス「メタストア」を活用し、ヴィッセル神戸・「イーザッカマニアストアーズ」と共同で、仮想空間に店舗を開設した。体験者は、ヴィッセル神戸の選手ユニフォームやタオルなどオフィシャルグッズとのコーディネートに合わせて、イーザッカマニアストアーズのオリジナルTシャツやスカートなどを購入した。
用意した商品は約50点で、「イーザッカマニアストアーズ」で取り扱っているものという。スタジアム内に設けた2つの観戦ルームから、体験者はそれぞれストアに来店し、欲しい商品を選択。なお、今回は決済までは行わず、あらかじめ商品を準備していた別室から、体験者が選んだ商品をスタッフが直接届ける形となった。
さらに今回は、東京・恵比寿の「楽天モバイル恵比寿店」にいる「イーザッカマニアストアーズ」のスタイリストが、5Gを活用してメタストアにアクセス・遠隔接客を行い、コーディネートをアドバイスした。スタイリストは、体験者の声を聞きながら、ヴィッセル神戸のアイテムに合うイーザッカマニアストアーズの商品を体験者に提案。体験者はリアルタイムで遠隔のスタイリストに相談しながら商品を選び、受け取った商品をまとって観戦を楽しんだ。
体験者からは「メタストア上で見ていた商品と実際に届いた商品がイメージ通りで良かった」、「最初は操作が難しかったけど、慣れたら画面も見やすくなり、楽しく買い物ができて良かった」、「グッズショップに並ばす購入できるサービスをぜひ実用化してほしい」等の感想があったという。
AR活用したショッピングも
これに先立ち、2021年11月3日には、同じくノエビアスタジアム神戸において、楽天モバイルが提供する5Gのミリ波と、VPS(VisualPositioningSystem)技術を活用した新しい試合観戦体験の実証実験として、「選手情報、試合情報のAR表示」「AR広告の表示およびインターネットショッピングとの連携」の実験を行っている。
専用アプリケーションを搭載したスマートフォンをピッチにかざす、またはスマートグラスを着用しピッチの試合を観戦することで、試合情報やJリーグ公式の統計データ(JSTATS)に基づいた選手の基本情報をVPS技術を活用して、AR表示した。2020年11月に実施した実証実験ではアプリケーションを使用する前に位置特定のためARマーカーの読み込みが必要だったものの、今回はVPS技術を活用することで、デバイスの位置情報を特定する精度が向上。スタジアムのさまざまな座席からもARマーカーを読み込むことなく、ARでの試合観戦体験を楽しむことができた。さらに今回じゃマートフォンに加えスマートグラスでの検証も行い、没入感や臨場感のある観戦体験を実現した。
また、実証実験ではVPS技術により高い精度で位置情報を特定することで、さまざまな座席からスタジアムの形状に合わせたAR広告を表示できることが確認できたという。楽天モバイルでは、看板などリアルの広告と組み合わせたバーチャル広告の表示や、リアルの広告では掲載できない場所や空間への表示、または試合状況に応じた広告など、広告枠の拡大につながる活用を検討しているという。
さらに、専用アプリケーションを「楽天市場」と連携させ、スマートフォンに映し出された選手をタップ、もしくはスマートグラスを装着しコントローラーを操作することで、選手の着用ユニフォーム等のアイテムを購入できる機能を実装し、より直感的に楽しめる、新しいショッピング体験の提供に向けた検証も実施。今後「楽天ID」と連携することで、よりパーソナライズされた広告表示やショッピングを可能にするとしている。
同社では、5GにメタバースやARといった技術を絡めた上で、楽天グループの経済圏「楽天エコシステム」と連携し、ショッピングも含めた新たなサッカーの観戦スタイルを提案していくという。