楽天、ふるさと納税の「ポイント禁止」無効求め提訴――「総務大臣の裁量権逸脱」主張

 ふるさと納税のポータルサイト「楽天ふるさと納税」を運営する楽天グループは7月10日、「ふるさと納税ポータルサイトにおけるポイント付与」を10月から禁止するとした総務省の告示に対し、無効確認を求めて東京地方裁判所に提訴した。同日、記者会見した百野研太郎代表取締役副社長執行役員(=写真)は「ポイントは日本のインフラとなっているのに、国会での議論や法改正もせずに告示で禁止したのはおかしい」などと提訴の理由を述べた。

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総務省と主張が対立

  同社では、ふるさと納税のポータルサイトとして、2015年に「楽天ふるさと納税」を開設。寄付者には同社のポイントサービス「楽天ポイント」を付与しており、仮想モール「楽天市場」の大型セール「お買い物マラソン」や「楽天スーパーセール」にふるさと納税を組み込んでいるのが特徴となる。楽天の大型セールには、ユーザーが買い物する店舗数によってポイント倍率が高まる「買い回り」というルールがあり、1つの自治体への寄付も1店舗分の買い物としてカウントされる。10店舗分買い物をするとポイントが通常の10倍となり、さらに楽天市場のポイントアップキャンペーンも含めると、寄付額の15%以上のポイント還元が期待できる仕組みだ。

 ポータルサイトのポイント付与を巡っては昨年6月28日、ふるさと納税の指定基準の見直しを定めた告示を改正すると発表。「ポータルサイト等による寄付に伴うポイント付与にかかる競争が加熱」していることを受け、「寄付者に対してポイント等を付与するポータルサイト等を通じた寄付募集」を、25年10月より禁止するとしていた。

 総務省では「ふるさと納税は寄付であり、Eコマースではない。ポイント付与自体が問題だ」という考え方を示している。楽天だけではなく、寄付者に対し、独自にインセンティブを与えるふるさと納税のポータルサイトは多い。寄付額の50%近くをポイント還元するキャンペーンを展開するポータルサイトもある。総務省は実質的に手数料からポイントが付与されるとみており、こうした販促を問題視していた。一方、楽天側は「ポイント原資は当社負担であり、自治体から徴収する手数料とは無関係」と主張、激しく対立してきた。

告示撤回の見込み立たず

 同社は告示に対する反対署名活動をインターネット上で展開、3月18日には三木谷浩史社長が、ふるさと納税へのポイント付与禁止に反対する295万2819件の署名を石破茂首相に提出していた。ただ「この1年間ロビー活動をしてきたが、前進がなかった」(百野副社長)ことから、提訴を決めた。関聡司執行役員渉外統括部ディレクターによれば「総理に署名を提出した後も、政府等のキーパーソンといろいろな話をしてきたが、交渉によって告示撤回を実現できる見込みが立たなかった。また6月28日に総務省がふるさと納税の指定基準見直し等を公表し、ポイント付与禁止の施行が確定したことから、このタイミングで訴訟を起こすしかないと判断した」という。

 訴訟の概要は「ポイント付与競争が過熱していたとしても、付与上限を設ければ十分であり、全面禁止の必要はない」「ポイント付与禁止はポータルサイトの運営方法再構築を迫るものであり、憲法22条第1項が定める営業の自由を侵害している」「国会での法令改正の議論なく禁止しており、総務大臣の裁量権範囲の逸脱であり、違法であることから告示は無効」などというものだ。

寄付額減少を危惧

  同社が楽天ふるさと納税の実績をもとに、今後の人口動静を加味したふるさと納税の寄付動向推移予測によれば、現状のままでは寄付者は頭打ちで、寄付額は5年後をピークに減少する可能性があるという。ポータルサイトのポイント付与が禁止されれば、寄付額はさらに減少しかねないというのが同社の主張だ。百野副社長は「地方創生のため、消費者のためにも、もっと(ふるさと納税を)活性化させる必要がある。そのためにこの訴えを起こした」と述べた。

 今後の動きについては「これまでの準備と調査に基づき、勝訴に向けて全力を尽くすが、引き続きいろいろな機会で関係者の理解を得られるようにしていきたい」(関執行役員)とする。

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